職場におけるハラスメントに関する調査(2004年度)

平成16年8月 財団法人21世紀職業財団

I アンケートの概要

(1) アンケートの目的

女性労働者がその能力を十分発揮できる職場環境・職場風土が整えられているかを把握すること並びに職場におけるセクシュアルハラスメントをはじめとする人 間関係から生ずる対立や軋轢について、企業内ではどのように対処しているか、また、企業に対しどのような援助があれば速やかに解決することができるかを把 握することを目的にアンケートを実施した。

(2)アンケートの対象

・対象業種  全産業(農林業を除く)

・対象企業数 3市場上場企業及び店頭銘柄等を含む約3400社

       東京、大阪、名古屋(1部、2部)

       地方上場、店頭銘柄、生命保険・損害保険

・記入担当者 人事労務担当者

(3)調査方法

通信調査

(4)調査時期

平成16年3月

(5)回収状況

回収数 638社

回収率 18.8%

II アンケート結果の概要

1.女性の活躍のための職場風土について

(1)「お茶くみ、掃除は女性の仕事」といった、性による固定的な考え方は依然として残っている

「お茶くみ、掃除は女性の仕事」、「女性だからという理由で任せない業務がある」といった、性別により仕事を固定的に考える職場の風土が「少しある」、「かなりある」とする企業は5割前後となっている。

特に、「お茶くみ、掃除は女性の仕事」という考えは「少しある」と「かなりある」を合計すると55.5%となり、「ない」の43.6%を上回っている。特に、金融・保険業では67.6%が「少しある」、「かなりある」としている。

また、建設業で「女性だからといった理由で任せない業務がかなりある」(13.0%)とする割合が高い。(第1図、第1表第2表

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(2)「女性の意見だから無視する、軽く扱う」、「会議や打ち合わせで女性は発言しにくい」、「管理職は女性の意見を採り入れない」といった職場は少ない。

「女性の意見だからといって、無視されたり、軽く扱われるようなことはない」、「会議や打ち合わせで、女性が男性と同様に発言出来る雰囲気がある」とする企業はそれぞれ87.1%、83.1%と高い割合を示している。

また、「管理職が女性社員とコミュニケーションをとり、女性の意見を採り入れる姿勢がある」とする企業も75.7%となっている。

産業別では、金融・保険業で「女性の意見だから無視する、軽く扱う」、「会議や打ち合わせで女性は発言しにくい」とする企業の割合はほとんどないのに対し、建設業では「会議などで女性が男性同様に発言できる雰囲気がない」とする割合が10.9%と他産業に比べ高い。(第3表第4表第5表

(3)「女性管理職の登場」に対する抵抗感はないとする企業が7割弱

「女性管理職の登場を、男性の部下が嫌がったり、抵抗を感じたりすることはないとする」のが68.5%で、「少しある」と「かなりある」を合計すると28.1%となる。

産業別にみると、金融・保険業では、「嫌がることはない」が91.2%と高く、「少しある」が8.8%と低いのに対し、建設業では、「嫌がることはない」が58.7%と低いのに対し、「少しある」、「かなりある」を合わせると34.7%と高くなっている。(第2図)、(第6表

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2.職場のハラスメントについて

(1)職場におけるセクシュアルハラスメントがあるのは4割強、パワーハラスメントは3割強、その他の職場のいじめ・嫌がらせは2割強

職場におけるハラスメント(セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、職場のいじめ・いやがらせ-男性対象を含む)が「しばしばみられる」、「たまにみられる」とする企業の割合は、セクシュアルハラスメントが「しばしば見られる」、「たまに見られる」を合わせると43.9%となり、「全く見られない」の44.5%とほぼ同じ割合を示している。

「パワーハラスメント」は、概念規定が確立していないこともあるが、「しばしばみられる」、「たまに見られる」を合わせると34.2%となり、「セクシュアルハラスメント」の43.9%を下回る。

その他の職場のいじめ・嫌がらせは「しばしばみられる」、「たまに見られる」を合わせると28.0%となり、「パワーハラスメント」の割合を更に下回る。(第3図)(第7表第8表第9表

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(注)「パワーハラスメント」、「職場のいじめ」については、法的に規定された定義がないため、回答者の判断による。

(2) 職場におけるハラスメントは企業規模が大きいほど「しばしば見られる」、「たまに見られる」とする割合が高い。

産業別に見ると、「セクシュアルハラスメント」が「しばしば又はたまに見られる」とするのは金融・保険業の55.8%が最も高く、建設業が26.1%と最も低くなっている。

企業規模別に見ると、5000人以上の大規模企業が「しばしば又はたまに見られる」が80.0%と高い割合を示しているのに対し、企業規模が小さくなるに従ってその割合が低下し、「全く見られない」とする割合が高くなるのが特徴である。(第4図、第7表

「パワーハラスメント」、「職場におけるいじめ、嫌がらせ」についても、企業規模が大きなるほどその割合が高くなる。(第8表第9表

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(3)相談窓口の設置状況は、企業規模が小さくなるに従いその割合が低く、300人未満規模では4割強が未設置

従業員からの相談や苦情を受け付ける相談窓口の設置状況は、「設置している」が77.6%、「設置していない」が19.7%である。

産業別には、サービス業で未設置が33.3%と高い割合に対し、金融・保険業では未設置は2.9%にすぎない。

企業規模別では、規模が大きいほど設置している割合が高く、5000人以上の企業では98.5%であるが、300人未満規模では53.7%にすぎない。未設置企業の割合は、300人未満企業で43.4%になっている。(第5図、第10表

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(4)セクシュアルハラスメント相談窓口の受付状況は「相談や苦情があった」割合と「相談や苦情はない」の割合はほぼ半々

相談窓口を設置している企業のうち、今までに「相談や苦情があった」とする企業は、46.5%、「相談や苦情はない」とする企業が51.5%と同程度の割合となっている。

産業別には、建設業で「相談や苦情があった」とする割合が21.6%と低いのに対し、金融・保険業では53.1%と高くなっている。

企業規模別では、大企業になるほど「相談や苦情があった」とする割合が高くなり、5000人以上規模では81.3%、300人未満の規模では17.8%と低い割合となっている。(第6図、第11表

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(5)パワーハラスメントと職場のいじめ・嫌がらせについての相談窓口の受付状況は「相談や苦情があった」割合は2割前後

パワーハラスメントや職場のいじめ・嫌がらせについて「相談や苦情があった」とする割合はそれぞれ17.8%、22.0%でセクシュアルハラスメントに比較してその割合が低い。

産業別、企業規模別にはセクシュアルハラスメントと同様な傾向を示している。(第12表第13表

(6)相談や苦情があったときの企業の対応状況は、人事労務担当者が「業務としてかかわった」が7割強

相談や苦情があったと回答した企業の人事労務担当者の71.3%が「業務としてかかわった」と回答している。その他「相談窓口など特別な部門が担当した」

とする割合が62.4%、ついで、「産業医、カウンセラー等社内の専門家が担当した」が14.0%となっており、企業の中で対処していることが伺える。

外部の専門家に依頼した割合は9.7%と少ない。(第7図)

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(7)外部の専門家に依頼した場合、その6割が弁護士、ついで雇用均等室を含む労働局が3割弱

企業の対処方法で、外部の専門家に依頼した場合は、弁護士が60.0%と高い割合を示している。その他雇用均等室を含む労働局に解決を依頼したとする割合が28.0%となっている。(第8図)

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(8)セクシュアルハラスメントの加害者に会社として処分したことがある企業が3割強

セクシュアルハラスメントに限定してその加害者に対し会社として処分したことがあるとする企業は33.7%、処分したことがないのは63.6%となっている。

産業別には、金融・保険業で会社として処分したことがあるのは50.0%と高い割合にある。

規模別には、企業規模が大きくなるほど会社として処分したことがあるとする割合が高く、5000人以上規模では81.5%となっている。これに対し300人未満規模では8.1%にすぎず、企業の規模による差が著しい。(第9図、第14表

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(9)パワーハラスメント、職場のいじめ・嫌がらせの加害者に対し会社で処分したことがあるのは5%にすぎない

パワーハラスメント、職場のいじめ・嫌がらせの加害者に対し会社で処分したことがあるとする企業はそれぞれ5.0%、5.3%にすぎない。

規模別には、5000人以上の大企業でその割合が2割前後と高いのが特徴的である。(第15表第16表

(10)セクシュアルハラスメントに限りその処分状況をみると厳重注意が7割、謝罪させたが5割

セクシュアルハラスメントの加害者に対し会社として処分したことがあると回答した企業で、その処分の内容をみると「厳重注意した」が71.6%、「謝罪させた」が52.1%と高い割合となっている。

ついで、「降格した」(28.4%)、「減給した」(26.0%)、「解雇した」(15.8%)となっている。

産業では建設業で「解雇した」とする割合が27.3%と他の産業に比べ高い。また、規模別では他の規模に比べ、5000人以上の大企業で各処分の割合が高くなっている。(第10図)(第17表

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(11)処分上の問題点としては「加害者と被害者の言い分が違って困った」が6割強

セクシュアルハラスメントの加害者に対し処分を行う際に難しかったのは、「当事者(加害者と被害者)の言い分が違って困った」とする割合が62.8%と高く、ついで「処分の妥当性がわからず困った」が26.5%となっている。

「処分に対し当事者から不満がでた」とする割合も11.2%ある。

産業別では、金融・保険業で「処分の妥当性がわからず困った」とする割合が41.2%と高くなっている。(第11図)(第18表

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(12)セクシュアルハラスメントの被害者(加害者)に対する支援・対処で「配置転換が必要になった」が6割強

セクシュアルハラスメントの被害者(加害者)に対する支援・対処で「配置転換が必要になった」とする割合が64.7%と高く、ついで「メンタルな部分のサポートが必要であった」が30.7%となっている。

「特に必要性は感じなかった」(14.0%)や「退職してしまったので対処しなかった」(9.3%)とする企業も1割程度ある。

産業別には、金融・保険業で「配置転換が必要になった」(94.1%)とする割合が高く、建設業で「メンタルな部分のサポートが必要であった」

(9.1%)とする割合が低い。また、建設業で「退職してしまったので対処しなかった」、「特に必要性は感じなかった」とする割合が他の産業に比べ高く

なっている。(第12図)(第19表

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(13)職場のハラスメントについて雇用管理上の配慮が必要とする企業は9割強

セクシュアルハラスメントをはじめ、パワーハラスメント、職場のいじめ・嫌がらせについて、何らかの配慮は必要とする企業の割合は9割強を占め、何らかの対応の必要性を認めている。

産業、企業規模別に見てもほぼ同程度の割合を示し、300人未満の企業規模であってもその必要性を認めているといえる。(第20表第21表第22表

(14)職場のハラスメント解決にあたり必要とするサポートは、「セクシュアルハラスメント防止従業員研修」が5割強

職場のハラスメントの問題解決にあたり、必要とするサポートは「セクシュアルハラスメント防止研修」が54.4%、ついで、「個人間の紛争を調停するスキルの習得」(43.7%)、「処分の妥当性を相談できるような外部機関の存在」(40.1%)となっている。

「セクシュアルハラスメント相談窓口の外部委託」を上げる企業も23.5%ある。

産業別では、建設業で「相談窓口の外部委託」を希望する割合が高いのに対し、金融・保険業でその割合が低い。また、企業規模別では企業規模が小さくなるほど「相談窓口の外部委託」を希望する割合が高くなる。(第13図、第23表

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