均等法パイオニア世代からのメッセージ<第1回>(3/3)

「社長はやりたいことができる権限を持てる。ただ、後ろに誰もいないので、背中がスースーします(笑)」

――2016年からオリックス・クレジットの代表取締役社長になられましたが、同じ役員でもトップとしてのご苦労ややりがいは、これまでとは違うと思うのですが。

山科さん:当たり前のことですが、役員の立場から提案はできても、最終ジャッジの権限は社長です。ただし、何かが起こった時の責任をとるのも社長です。責任は大きいですが、やりたいことができる権限を持つことができるので、すごくやりがいはあります。ただ、後ろに誰もいないので、背中がスースーします(笑)。従業員が約500人の会社ですが、従業員の家族を入れると2,000人ぐらいいるので、この会社を中長期的にサステナブルにしなければいけないという思いが強くなりました。今期の業績が良ければいいというだけではなくて、3年後、5年後、10年後も考えなければダメですよね。以前はカードローン主体の会社でしたが、事業構成としてはかなり脆弱なので、信用保証事業を拡大し、新しくモーゲージバンク事業を展開する等、事業構造を変革し、収益基盤の拡大を図ってきました。

 人材リソースも企業にとって重要です。私は社長になるまで人事の経験がありませんでしたが、社長という立場になったからこそ従業員が働く時間をどう使って、楽しく過ごしてもらえる場にできるかということをすごく考えるようになりました。

 女性の活躍の推進という点では、オリックスのリテール関係の3社(オリックス・クレジット、オリックス銀行、オリックス生命)で女性の勉強会を始めたり、オリックスグループでロールモデルを共有するようにしています。

――今年度から会長職になられましたが、まだまだ新たなチャレンジ等、ご自身の可能性を追求されているのではないかと思います。今後のご計画をお聞かせください。

山科さん:これまで会社の経営という視点でいろいろと取り組んできました。もちろんそれは引き続き行っていきますが、いつかは会社の役員という立場から卒業していくので、社会の中で何ができるかということをそろそろ考え出してもいい歳かなと思っています。今までやってきたことの延長線上かもしれませんけれども、やはり社会との接点をずっと持ち続けたいですし、何か自分ができることをやっていきたいと思っています。

「自分の可能性を信じて、希望を口に出し、チャレンジしてほしい」

――最後に均等法施行35年を迎えた現在の状況についてのお考えと、次の世代の働く女性たちへのメッセージをお願いします。

山科さん:この35年で、結婚しても、出産しても、ライフイベントがあっても仕事を続けられるような制度は整ってきました。しかし、上司側も女性側もアンコンシャス・バイアスを持っていて、上司側は、女性にそこまでさせていいのかなとか、ワーキングマザーだからと、本人の意思も確かめずに新しい仕事を男性に回してしまうといったことがまだあります。女性側も結婚・出産と、やりがいある仕事がトレードオフのように思って悩み、キャリアアップをためらっている方がいます。これは大変もったいないと思います。

 ワーキングマザーであっても、チャレンジングな仕事をやってみたいのであれば、やる気があるということを伝える。両者間のコミュニケーションをより密に行うことが大切だと思います。これからは、育児だけではなくて、男女問わず介護と仕事の両立が必要な人も増えてきます。そういう事情がある人でもチャンスが平等に与えられることは重要です。「自信がない」とか、「管理職はちょっと難しい」と思わず、自分の可能性を信じ、希望を口に出してチャレンジしていただきたいと思います。

機関誌「ダイバーシティ21」2021年夏号より)


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[均等法パイオニア世代からのメッセージ]

第1回 山科裕子さん(オリックス・クレジット株式会社 執行役員会長)

第2回 鍋島美佳さん(東京海上ホールディングス株式会社 執行役員)