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日本のD&I これまでとこれから ―講演抄録―

【基調講演】D&Iを加速するために~未来を切り開くD&I経営~(2/2)

◤多様性を活かすリーダーに求められる資質とは ◤

 組織の多様性が高まるにつれて、多様な人材を活かすためにリーダーのあり方が更に重要となっています。私の経験から、多様性を活かすリーダーに求められる資質について3点挙げたいと思います。

 1つ目は、「自らの価値観」「ぶれない軸」をしっかり持つことです。自分なりの価値観を持たない人たちがいくら集まっても何も生まれてきません。自らの価値観あるいは自負は、それぞれの志や学ぶ意志を持って行動することで培われていくものです。

 2つ目は、洞察力を磨き、本質を見る眼を養うことです。洞察力というのは教養、人との交流、経験の積み重ねで磨かれてくるものだと思います。事実はひとつしかありません。けれども、真実というものは見方や考え方によって複数存在します。そういう中で本質となるひとつの真実を見抜く力を持つことが必要です。

 最後は、二律背反をマネージする力を持つことです。リーダーは常に矛盾や対立概念に直面します。「失敗覚悟」でやることと、「成功第一」でやること、計画というものは「練り上げたほうがいい」という考え方と、「臨機応変に対処するのがいい」という考え方など対立概念がある中で、場面に応じて最適な選択をする二律背反をマネージする力が求められます。

◤急激に変化する環境の中で、多様性は強さとなる ◤

 1世紀は自然との共生や環境の持続性が課題と言えると思います。私たちを取り巻く社会課題は山積していますが、明るい未来を具体的に想像すれば人はそれを実現する能力を持っているということは歴史が証明しています。社会課題にしっかり向き合い、自らが未来のあるべき姿を想像し、その多様な創造力を発揮して目指していくことが、不確実な将来の不安を「明るい未来」への期待感に方向転換できると確信しています。多様な問題や新しい課題に向き合うためには、私たち自身が多様性を受け入れることができる、柔軟性をもった個人や組織でなければなりません。

 先日開催されたパラリンピック東京大会の開会式のスピーチで、IPC(国際パラリンピック委員会)パーソンズ会長から「Difference is a strength, not a weakness(違いは強みであって、弱さではない)」というメッセージを伝えられていました。パラリンピックはこれを体現するかたちで展開され、私たちに勇気と希望を与えてくれました。

 多様性は「強さ」です。急速に変化する環境の中でもD&Iをベースとしたイノベーションによって自らが変革することで新たな成長戦略を描くことができると考えています。

 〜ご講演後の質疑にも丁寧にお答えいただきました〜

 (機関誌「ダイバーシティ21」2021年冬号VOL.47より)

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[ONLINE SYMPOSIUM『日本のD&I これまでとこれから』―講演抄録―]

【基調講演】D&Iを加速するために~未来を切り開くD&I経営~

【趣旨説明】日本のD&I、これまでの歩みと課題

【パネルディスカッション】3年後のD&I。加速する為の打ち手を探る