女性交流会 実施報告

第9回 明日のビジネスを担う女性たちの交流会 in 大阪

<開催日>2021年9月14日(火)15:00~16:30
<開催形式>Zoomでのオンライン開催(関西事務所主催)



 2020年度は開催を中止した交流会ですが、本年度はオンラインで実施し、約270名の方々にご参加いただきました。

 執行役員など幹部クラスとしてご活躍の3名のパネリストをお迎えし、コーディネーターの当財団業務執行理事 兼 事務局長の橋本かおるより、質問を投げかけながら、ご自身のキャリアを振りかえっていただく中で前向きに経験を積みながら成長していくことの大切さや、上司や部下等とのコミュニケーションにおけるヒントなど、参加者の皆さんのキャリアアップにつながる、元気の出るエピソードやメッセージをたくさんいただきました。

大阪交流会

当財団業務執行理事 兼 事務局長 橋本かおる

■パネリストからのメッセージ

的場 佳子氏(伊藤忠商事株式会社 執行役員 人事・総務部長)

 事務職として採用され、今では全部IT化されている集計業務などを担当し、ずっとこの仕事を続けるのかとモチベーションが下がったので、上司に相談したところ、「今日は船積について勉強してみろ」と、毎日のように学ぶべき課題を出してもらい、周囲の関係部署に教えてもらう中で自分の仕事が会社全体の業務の中でどのような位置づけなのか、どんな意味があるのかがわかり、俄然やる気になった。

 その後、総合職に転換し米国勤務も経験。現地では効率よく働き18時には帰宅するという働き方を目の当たりにしワークライフバランスの重要性を肌で感じた。帰国後に伸び悩みを感じたとき、外務省出向を経験し、「わが社」から「わが国」に視野が大きく広がった。出向から戻って管理職登用され、財界活動を通じてさらに人脈が広がり、2019年に執行役員に。2021年の春からは人事・総務を任され、コロナ対応や株主総会などさらに成長の機会を与えられたと思い、役員になってからも、勉強と成長の真っ只中。新しい事にチャレンジするのは好奇心旺盛なので苦にならず、むしろ飽きる方が不安。新しい人との出会いが新しい事業へのキッカケになる。昔からの人脈も、折を見て食事会をするなど、つながりを大事にすることも工夫している。

 わが社も女性の力を活かさないと生き残れないと実感しており、女性活躍支援が自分のライフワークだと思って取り組んでいる。関西経済連合会のD&I委員会の副委員長も務めており、女性が安心して会社と社会に貢献できる活動を進めていく。

飯田 順子氏(株式会社島津製作所 分析計測事業部 上席理事、
         大阪大学工学研究科 特任教授、
大阪大学島津分析イノベーション協働研究所長)


 就職するなら学部卒の方が有利な時代だったので、大学院には進まず女性が長く働けそうな島津製作所に就職を決めた。当時は女性だけに対する残業規制などもあった一方で海外出張の機会も与えられた。海外の研究者は博士号が当たり前だったこととから博士号を取得、海外市場なども実感したくて休職して留学した。自分の担当領域がちょうど会社が伸ばそうとしている事業領域だったので、よりチャレンジが可能だった。そんな中で、装置の操作ミスをしたときに、装置の基本的な構造や原理を理解していないからだと真剣に叱ってくれた上司の存在もありがたかった。

 その後、東京に単身赴任、会社初の女性管理職、女性部長などの機会が与えられ、最近は大学との産学連携研究で日々イノベーションについて考えている。社会全体が新しいことをやろうとしている時代にはイノベーティブな人材が必要で、具体的にはその人の中にいくつかの軸があること。個人内多様性をサポートするようなプログラムに取り組んでいる。

 皆さん様々な悩みを抱えていると思うが、迷った時は自分がハッピーかどうかを考えるとシンプルになる。答えのない時代だから結果を出せばそれが答えになる。自分に自信をもって、今日をキッカケに新しいことに取り組んでほしい。

野地 小百合氏(関西電力送配電株式会社 大阪支社長)

 大卒女性採用の3期目として入社。営業所配属を経て初めての本店で、阪神淡路大震災後を経験。復旧だけでなく、電気料金の停電割引を行う必要があり、猫の手も借りたい状況で自分も他のメンバーと共に苦労を乗り越える経験ができた。係長や課長などリーダーのポジションについたとき、部下をうまく叱れなかったりグループの方針をうまく示せなかったりしたこともあったが、部下が「もっとこうした方がよい」と具体的に言ってくれたことで、自分がどう振舞えばよいか見えたこともあった。

 その後、関係会社の社長として出向したときには、経営判断を求められ、取締役会で説明しなければならなかったので、財務諸表や経営について猛勉強。また、新しい事業やプロジェクトに参画する決定を下す機会も与えられ、自分の知らない事業領域については周囲のスペシャリストに教えてもらった。自分は典型的なジェネラリストで、人と人とをうまく結びづけて化学反応を起こさせる「触媒」のような存在だと思う。相手がなぜそう考えるのか、気になって沢山質問をしてしまうなど、人に対する興味があるので、その強みを活かして、これからも組織と社会の成長に貢献したい。

 これからは女性が得意とするような共感をベースとしたリーダーシップの時代だから、気がつけばガラスの天井はなくなっているかもしれない。ぜひ手を突き上げてみて、チャレンジしてほしい。

参加者の声

 与えられえた事を確実に遂行し、皆様に迷惑をかけないことをモットーに仕事をしてきましたが、今後はもっと前向きに、会社にとっても自分自身にとっても効率的な改善策等、自分の考えを提案してみようかと勇気をいただきました。年齢にとらわれることなく、自らが疑問をもち、勉強してstep‐upできるよう頑張ります。

 パネリストの方々にも管理職になりたての頃があり、それからどのように進んでこられたか、その時の気持ちなどをお聞きすることができ、「よし、私も頑張ろう」「チャレンジしてみよう」という気持ちがわきました。

 パネリストのみなさんは、与えられたチャンスを確実に掴み、順調にキャリアを重ねておられるとても優秀な方々で、ロールモデルとしては少し縁遠くも感じましたが、そのマインドについては、今のわたしでも参考にできるところが多くあったと感じます。歳を重ねても知らないことがあるのは当然で、世の中の事象のほとんども知らないことだらけなのだから、勉強する努力をもっとしようと思いました。仕事にも慣れてきて、少し漫然と日々を過ごしていたので、少し視野が広がった気がします。

*パネルディスカッションの映像を弊財団ホームページ上で公開予定でしたが、録画状態がよくないため中止しました。


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