2026年02月20日
スーパーバイザーコラム
相手に届く、効果的な部下指導のためのヒント⑤
【指導に「聞く耳」をもたせるにはどうするか その1】

「指導していても手ごたえがない」「注意しても不満げで言動が改善しない」といった声を管理職の方から聞くことが良くあります。明らかにトラブルが発生しているとき、それを指摘しないわけにはいきませんが、問題点をいきなり突き付けられた部下の方からすると、逃げ場がなくなって聞ける話も聞けなくなっているだけなのかもしれません。

人間は感情の生き物ですから、間違いを事実として受け入れるだけではなく、納得感が得られることが、その後言動を変えるための意識づけにはとても重要です。部下の方にもそれなりに言い分があるかもしれません。「そうはいっても」と言葉にするチャンスを作ることは、指導の効果を高める上で鍵になります。

「指導のための“かきくけこ”」では、ハラスメントにならない指導のポイントとして、具体的に伝えることを上げています。

 か 「環境」を整える
 き 「記録」に基づく
 く 「具体的」に話す
 け 「傾聴」する
 こ 「これから」を明確にする

け 「傾聴」する その1

傾聴は英語では active listening で、能動的に聴く、というニュアンスがあります。傾聴のほうが、全身を傾けて聴く、という意味合いが表現されていて、訳語の方が良くできていると感じる用語の一つです。

「きく」を漢字に変換すると、「聞く」「訊く」「聴く」などが出てきます。「聞く(=hear、音を耳に受ける)」は、閉ざされた門の向こうでする物音を、門に耳を付けて聞く、というのが文字の由来です。「訊く(=ask、尋ねる、こちらが知りたいことを訊く)」は、矢継ぎ早に訊く、という意味があります。「聴く(=listen、注意して耳を傾ける)」は、まっ直ぐな心で先入観なしに相手が話したいことを聴く、という意味の漢字です。

一般的に管理職の方が部下の方と話す時は、進捗確認など自分の「ききたいことリスト」が頭の中にあって、それをダーッときいていく、つまり訊くことが業務上求められますが、ここであえて考えていただきたいのが、聴くことです。

傾聴するようになると、相手の方は「この人なら聞いてもらえる」「話しても大丈夫」「頭ごなしにされない」と感じるようになります。すると相談されることが早くなり、その結果、問題解決のチャンスが増えるのです。

管理職の方に傾聴を紹介すると、「暇な時はできるけれど、忙しい時にはそんな悠長なことを言ってられない」という反応をされることが非常に多いですが、実は忙しい時、チームで何か問題が起きた時こそ、傾聴を使ってコミュニケーションを活性化させることが望ましいと言えるでしょう。

具体的な傾聴のテクニックについては、後編でご紹介します。

執筆者プロフィール
八木 亜紀子氏(21世紀職業財団 社外相談窓口スーパーバイザー)

博士(医療福祉ジャーナリズム学)/福島県立医科大学 特任准教授 /アアリイ株式会社 代表取締役

米国で日英両語でカウンセリング、ケースワーク、リーダーシップ養成トレーニングを提供。帰国後、専門家養成、従業員支援、障害者就労支援、女性研究者支援、東日本大震災による被災者支援に従事。

 

【資格】
カリフォルニア州臨床ソーシャルワーカー/国際EAP協会認定EAプロフェッショナル/精神保健福祉士/公認心理師

 

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