2026年02月20日
スーパーバイザーコラム
アサーションから始める、互いを大切にするコミュニケーション④
【謙遜とアサーションは共存する】

自分が子どものころ、自虐ネタってそんなになかったな、少なくとも一般人が使うことはあまりなかったな、と、ふと気になって、ネットで調べてみました。すると、元祖は1980年代後半のお笑いだそうで、真偽はさておき、それほど昔からあったコミュニケーションスタイルではなさそうです。

謙遜を美徳とする日本文化に、自己主張のテクニックのアサーションは馴染まない、という意見がありますが、それは、謙遜と自虐が区別できていないからこその見方ではないかと思います。自分を貶める自虐は、謙遜ではありません。控え目であっても、伝えるべきことは伝える、という姿勢は、相手と自分に対するリスペクトの表れでもあります。アサーションのベースに謙遜がある、とも言えるでしょう。

自虐的にならず、謙遜しつつも自己主張するためのポイントは

1.最初の一言を工夫する
 ➢「つまらないことですが…」はNG。「大事なお話があります」に置き換える。

「相手の貴重な時間を奪ってしまう」という思いから、ついこんな風に切り出してしまいがちですが、「話す価値もないことですが」と宣言されては、相手も聞くモチベーションが下がります。
アサーションの基本は、交渉のテーブルに着いてもらうことです。その際に「面倒だな」「忙しいのに」という気持ちで向き合われては、通る話も通らなくなってしまいます。
「大事なお話があります」と切り出せば、相手に注意喚起できますし、場合によっては覚悟をもって話し合いに臨んでもらえるでしょう。
それほど深刻な話ではなく、「なんだ、そんなことだったのか」と言われたとしたら、「こういう話に慣れてなくて。でも聞いていただいてありがとうございました」と伝えましょう。

2.語尾ははっきりと
 ➢「〇〇なんですけど…」と濁すのはやめよう。

余韻余情を醸し出して、相手から答えを引き出す、という意味では、語尾を濁すのは、非常に高度なテクニックです。実際、上記㋒で述べた「わたしメッセージ」の例文でも、「今日は予定があって…」という言い回しで、あえて語尾をはっきりさせないという例を挙げていました。ただ、これは自分の発言の途中で、そのあとにセリフが続き、最後は言い切る、という表現になっています。
場合によっては、畳みかけるように話すよりも、ちょっと間を取る方が自分も話しやすい、ということもあるでしょう。しかし、相手に話を預ける段階で言葉を濁すと、「で、どうしたいの?」と相手の疑問を喚起することになりかねません。

発言の最後は、語尾をはっきりとさせるようにしましょう。

© Akiko Yagi

3.相手のペースに巻き込まれない
 ➢「どうせ私なんか」ではなく、さえぎられたら「ちょっと待ってください」。

「話し始めてはみたものの、気が付いたら相手がすかさず切り返してきて、どこで割って入っていいかわからない、ということも起きがちです。論旨明快、理路整然、相手の言い分はごもっとも、と思い、譲ってしまうこともあるでしょう。
しかしそこは、「私の意見なんて価値がない」と引くのではなく、ぜひひとまず聞いてもらいましょう。多様な意見はより豊かなソリューションを導きます。
「あのー」とか「えーっと」と声をかける、ちょっと手を挙げてみる、などして相手の注意を引き、自分の意見を最後まで伝えてみましょう。
参考「心が軽くなる!気持ちのいい伝え方」 森田汐生 主婦の友社

執筆者プロフィール
八木 亜紀子氏(21世紀職業財団 社外相談窓口スーパーバイザー)

博士(医療福祉ジャーナリズム学)/福島県立医科大学 特任准教授 /アアリイ株式会社 代表取締役

米国で日英両語でカウンセリング、ケースワーク、リーダーシップ養成トレーニングを提供。帰国後、専門家養成、従業員支援、障害者就労支援、女性研究者支援、東日本大震災による被災者支援に従事。

 

【資格】
カリフォルニア州臨床ソーシャルワーカー/国際EAP協会認定EAプロフェッショナル/精神保健福祉士/公認心理師

 

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