2026年02月20日
スーパーバイザーコラム
カスハラに負けない、安心して働ける職場に~カスタマーハラスメント~①
【カスタマーハラスメントの社会問題化】
【カスタマーハラスメントの社会問題化】
パワハラが広く知られるようになって以降、何かと○○ハラという言葉が聞かれるようになりました。すこし調べただけでも50近くの○○ハラがあるようですが、そのほとんどはセクハラやパワハラに含まれるか、職場として配慮が必要な範囲を外れるもののようです。
そんな中、新たに注目されているのがカスタマーハラスメント、いわゆるカスハラです。パワハラの防止対策が令和元年に法制化され、翌令和2年にパワハラ指針が示された際、顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為に関して、「事業主は、相談に応じ、適切に対応するための体制の整備や被害者への配慮の取組を行うことが望ましい」とされ、「被害を防止するための取組を行うことが有効である」と定められました(「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年厚生労働省告示第5号))。
この動きの背景には、カスハラの深刻化があります。流通・サービス業の労働組合が作るUAゼンセンが2024年に組合員を対象に行った調査※では、「直近2年以内に迷惑行為被害にあったことがある」という回答が46.8%、さらに「直近2年以内で迷惑行為は増えていると感じる」という回答は33.7%でした。「最も印象に残っている顧客からの迷惑行為」は「暴言」(39.8%/6,170件)が最多で、「威嚇・脅迫」(14.7%/2,281件)、「何回も同じ内容を繰り返すクレーム」(13.8%/2,140件)が続きました。
気がかりなのは、「迷惑行為のきっかけとなった具体的な理由」の最多が「顧客の不満のはけ口・嫌がらせ」で26.7%だった点です。カスハラの4件に1件は、防ぎようがないとも言えます。一方で、「企業で実施されている迷惑行為への対策」については「とくに対策はなされていない」が42.2%で最多で、「マニュアルの整備」(28.6%)や「専門部署の設置」(23.4%)を大きくしのいでいます。
企業にとって、社外の客が引き起こすカスハラへの対応は、組織内のハラスメントとは異なる難しさがあるのも事実ですが、2025年の労働施策総合推進法改正によりカスハラ防止措置が事業主の義務となったことを踏まえ、より実効性ある取組の実施が求められています。

※UAゼンセン「カスタマーハラスメント対策アンケート調査」結果(2024年9月)
博士(医療福祉ジャーナリズム学)/福島県立医科大学 特任准教授 /アアリイ株式会社 代表取締役
米国で日英両語でカウンセリング、ケースワーク、リーダーシップ養成トレーニングを提供。帰国後、専門家養成、従業員支援、障害者就労支援、女性研究者支援、東日本大震災による被災者支援に従事。
【資格】
カリフォルニア州臨床ソーシャルワーカー/国際EAP協会認定EAプロフェッショナル/精神保健福祉士/公認心理師



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