2026年04月01日
ハラスメント防止の基礎
事業主(企業)が講ずべき防止措置
企業に義務付けられている防止措置の具体的内容を見てみましょう。上記5つのハラスメント共通の防止措置として以下の㋐~㋓が求められています。また、「妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント」とカスハラは㋐~㋓以外にも個別の防止措置が求められています(後述)。
以下では、これらハラスメント共通の防止措置について、具体的な取組例の一部を紹介します。
㋐ 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
ハラスメントを許さないという事業主の方針や行為者への厳正な対処方針等を明確化し、周知啓発するとともに、管理職層を中心に職階別研修を定期的に実施することにより、ハラスメントに対する正しい理解とハラスメント防止につながるコミュニケーションのあり方などについて、組織全体で共通認識を形成しましょう。また、アンケートにより、ハラスメントに関する意識や発生状況等の実態把握を定期的に行い、それを踏まえて研修を実施すると効果的です。
㋑ 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
事案によって対応方法は異なりますが、ハラスメント行為を受けた労働者が一人で抱え込まないことが重要です。早い段階で上司やハラスメント相談窓口に共有し、組織として対応を検討し、早期解決につなげるには、相談しやすい体制を整備し、周知することが求められます。
社内の相談窓口の利用を躊躇する例もあることから、相談窓口は、面談だけではなく、電話、メール等複数の方法で受け付ける、外部相談窓口等を設ける等により、実際に労働者が気軽に相談できるようにすることが必要です。企業の中には、既存の相談窓口に加えてFormsの機能を活用した匿名の相談窓口を新設するなどして工夫している例もあります。相談者のプライバシー確保のための本人特定情報の取扱いルールや、相談したことで不利益は生じないことなど、相談後の対処フローなどとともに周知するなことも、相談窓口の信頼性確保を図るうえで有効と考えられます。
相談窓口担当者は、相談者の話を傾聴し、意向等を的確に把握し、行為者や第三者のヒアリング内容も踏まえて事実関係を整理するなどのスキルとともに、相談者等のプライバシー保護や二次被害防止のための配慮などが求められますので、しっかりとした研修を実施することが重要です(※)。
また、相談窓口担当者が必要に応じて人事担当者及び相談者の上司等のフォローを受けられるよう、連携体制を検討し、マニュアル等に明記しておくと良いでしょう。
※留意すべきポイント

㋒ 事後の迅速かつ適切な対応
相談を受けた後、相談者の意向に適切に配慮しつつ、速やかに事実関係の確認を行うため、行為者からヒアリングを行います。双方の主張に不一致がある場合は第三者からも事実確認を行いますが、プライバシー保護等の観点から必要最小限の範囲でヒアリングします。
職場におけるハラスメントの事実が確認できた場合は、被害者の意向等を踏まえつつ、必要に応じて配置転換、不利益の回復、メンタルヘルス不調への相談対応等の検討を行い、行為者に対しても必要な懲戒等の措置等、適正な措置を行います。
併せて、再発防止措置(ハラスメント防止対策の再点検、社内の広報・啓発、研修等の実施等)を講ずることが必要です。
㋓ ㋐~㋒と併せて講ずべき措置
相談窓口ではプライバシーの秘匿が徹底されていること及びハラスメントに関する相談、協力等を行ったこと等を理由として解雇その他の不利益な取扱いをされないこと等についての規定(ルール)を整備・周知し、安心して相談できるようにしてください。
なお、派遣労働者については、労働者派遣法第47条の2~第47条の4までの規定に基づき、派遣元事業主だけではなく、派遣先事業主も雇用する事業主とみなしてハラスメントの防止措置やハラスメントの相談を行ったことを理由とした不利益取扱いの禁止が適用されており、カスハラや就活セクハラに関する防止措置に関しても同様の扱いとなります。
次に、ハラスメントの種類別に、主なポイントを説明します。
※参考)厚生労働省「職場におけるハラスメント対策パンフレット」



お問い合わせ