2026年04月01日
ハラスメント防止の基礎
求職活動等におけるセクシュアルハラスメント(求職活動等におけるセクハラ)
根拠法:男女雇用機会均等法

(1)求職活動等におけるセクシュアルハラスメントとは

「求職活動等におけるセクシュアルハラスメント」とは、求職活動等において行われる事業主が雇用する労働者による性的な言動により求職者等の求職活動等が阻害されるものをいいます。

「求職者等」とは
■求職者(当該企業の求人の応募者など当該企業に就職しようとする意思が明確になっている者)
■求職者以外の者であって、
 ・事業主の実施する労働者の採用に資する活動に参加する者や、
 ・教育実習、看護実習その他の実習を受ける者)

「求職活動等」とは
求職者等が行う求職活動や職業選択に資する活動を指します。SNS等を介したものやオンライン上で行われるものも含まれます。
(例)採用面接、就職説明会、内定後の懇親会、企業の雇用する労働者の訪問(OB・OG訪問等)、インターンシップへの参加、教育実習、看護実習等の実習の受講など。

「求職活動等におけるセクシュアルハラスメント」の典型例

・少人数の説明会において、労働者が求職者等の腰や胸などに触ったため、当該求職者等が苦痛に感じてその求職活動等の意欲が低下していること

・企業が実施するインターンシップにおいて、労働者が求職者等に対して性的な冗談やからかいを意図的かつ継続的に行ったため、当該求職者等が苦痛に感じてインターンシップ中の活動が手につかないこと

・面接中、面接官を務める労働者から性的な事実に関する質問を受け、求職者等が苦痛に感じてその求職活動等の意欲が低下していること

・インターンシップ中に労働者が求職者等を執拗に私的な食事に誘い、当該求職者等が苦痛に感じてその求職活動等の意欲が低下していること

(2)求職活動等におけるセクハラを巡る状況

就職活動中の学生等に対するセクシュアルハラスメントが社会問題化した2019年当時、法的に労働者に該当しない求職者を男女雇用機会均等法11条が定める事業主のセクハラ防止措置義務の対象に含めることは困難との整理がなされたことから、2020年のセクハラ指針の改定においては、「職場におけるセクハラに関する方針の明確化等を行う際には、求職者等に対する言動についても同様の方針を示すことが望ましい」旨が明記され、求職者等に対する防止措置は“望ましい取組”として位置付けられました。

しかし、2023年の厚生労働省調査(※)では、インターンシップ・就職活動中にセクハラを経験した者が30%を超えるなど、企業の自主的取組だけでは十分な防止効果が得られていない実態が明らかとなりました。こうした状況を受け、2025年6月には男女雇用機会均等法が改正され、求職者等に対するセクシュアルハラスメントを防止するために必要な雇用管理上の措置を講じることが事業主の義務とされました(2026年10月1日施行)(※)。

※インターンシップ中/インターンシップ以外の就職活動中にセクハラを受けた割合

※就活等セクハラによる心身への影響

(3)求職活動等におけるセクハラ防止措置とその例

㋐事業主の方針等の明確化およびその周知・啓発

・求職活動等におけるセクシュアルハラスメントの内容、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に社内報、パンフレット、社内HP、社内研修等を活用して周知・啓発します。その際、性別役割分担意識に基づく言動もセクハラ発生原因や背景となり得ることを盛り込むことが重要です。

・求職活動等に関するルール(面談を行う時間や場所の指定、実施体制、求職者等との連絡のやり取りに用いるSNSの種類の指定など)を明確化した上で、労働者および求職者等に対して周知・啓発します。役員面接等により求職者と接する可能性がある人、求職者等に面談等に関する留意事項を周知する場合は、企業のホームページや採用パンフレット等の広報手段を活用してください。

・未然防止および再発防止の観点から、就業規則等において、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントにかかる性的な言動を行った者に対する懲戒規定を定め、その内容を労働者に周知・啓発することも必要です。

㋑相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

・相談窓口を設置し、パンフレット、ホームページ等で求職者に周知します。

・相談者の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどの認識にも配慮しながら、セクハラに該当するか否か微妙な場合等であっても、広く相談を受け、適切な対応を行える体制を整えてください。相談内容等に応じて相談窓口担当者と人事部門とが連携をはかることができる仕組みが効果的です。

・相談対応の留意点やプライバシー保護のための対応等を記載したマニュアルを作成し、相談対応者に研修を実施します。

㋒求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

・事実関係を迅速かつ正確に確認するため、相談窓口の担当者、人事部門又は専門の委員会等が、相談者及び行為者とされる者の双方から事実関係を確認し、主張に不一致がある場合等は、第三者からも事実関係を聴取します。確認が困難な場合は、調停の申請を行うなど中立な第三者機関を利用してください。

・被害の事実が確認された場合には、事案の内容や状況に応じ、被害者と行為者を引き離すための対応、行為者の謝罪、人事担当者による被害者への相談対応などの措置を講ずることなど、速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行ってください。

・加害者に対する措置として、必要に応じて、就業規則に基づく懲戒処分などの措置を行ってください。

上記の㋐~㋒の措置を講ずる際は、相談者・行為者等のプライバシーを保護するための措置を行うとともに、労働者と求職者等にも周知することが必要です。また、事実関係の確認の際に協力したこと等を理由として、労働者が不利益取扱いをされない旨を定め、周知啓発することが必要です。

事業主が求職活動等における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和8年2月26日公布)

厚生労働省リーフレット(詳細版)

厚生労働省リーフレット(簡易版)

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