2024 講義内容に関するご質問と回答

この度は、養成講座の講義内容についてご質問をいただきありがとうございます。
質問内容は、質問者からいただいた文章をほぼそのままの形で掲載しております。

お寄せいただいた質問の中で、講義と関係ない質問については回答をしておりません。ご了承ください。

 

「ハラスメントの基礎知識」の講義の内容について


Q1.派遣社員のハラスメントは、派遣先にも防止措置が義務付けされているとのお話がありましたが、

派遣社員自身がハラスメントの申出をする際は、派遣元、派遣先のどちらに申出するのか決まりはあるのでしょうか?

【回答】派遣労働者については、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受ける者(派遣先事業主)も、自ら雇用する労働者と同様に、措置を講ずる必要があります。派遣労働者が被害に遭った場合には派遣元もしくは派遣先いずれに相談していただくかについては、決まりはありません。


Q2.レジメ25 レジメ59の判断基準の中で【「平均的な労働者の感じ方」を基準】とありますが、どのようなことでしょうか?理解を深めるために具体的な内容を知りたいので教えて頂けますか?

【回答】「平均的な労働者の感じ方」とは、「同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうか」を基準とします。例えば、「嫌がっているのに何度も言う」というような言動の頻度や継続性などは考慮されます。ただし、強い身体的又は精神的苦痛を与える言動の場合には、1回でも該当する場合があり得ます。例えば、セクハラは身体接触、パワハラは「死ね」や「クビだ」というような生死や雇用に関することは該当し得ます。具体的には個別の事案ごとに判断されることになります。


Q3.レジメ110の【雇用管理上の問題がないか把握し問題があれば対策する】の中の【雇用管理上の問題】とは、具体的には「残業時間が長い」、「人手不足」など労働環境上問題がないかどうかということでしょうか?

【回答】ご指摘の通り、残業時間が長い、人手不足などが該当します。他にも年代に偏りがあったり、コミュニケーションが少ないなども挙げられます。パワハラの要因になり得る雇用管理上の問題は、厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査」の「ハラスメントに関する職場の特徴」も参考にしてください。

Q4.ハラスメントの行為者、被害者の対象者で、学校関係の保護者の場合は、キャンパスハラスメントではなく、カスタマーハラスメントの範疇でしょうか?今、教育現場では、学校関係の保護者への対応で苦慮している面もあります。その点の対策を検討しているので、参考までにお聞きします。また、保護者、PTAでの対応で何か特徴的なアドバイスがありましたらお教えください。既にテキスト等で記載されていましたら申し訳ありません。

【回答】おっしゃる通り、学校関係の保護者からの著しい迷惑行為はカスタマーハラスメントの範疇となります。個人的な経験になりますが、学校関係の方々から対応に苦慮されているというご相談は度々受けております。他業種と同様に複数名で対応したり、被害を受けた教職員のケア、悪質な行為の場合には警察や弁護士への相談も必要かと思います。対応が難しいのは、合理的配慮をたてに行き過ぎた要求をしてくる場合です。他の学生との公平性もありますので、安易に要求を受け入れることは適切とはいえず難しいところです。当該学生の障害に適した配慮について、専門家とともに個別に面談なとをして決めておくことで、行き過ぎた要求を防ぐことは出来るかと思います。
 また、ルールを超えた対応(提出期限を過ぎているなど)を求めてくる場合は、一度許容すると、相手によっては特別扱いが常態化してしまう恐れがあるため、「出来ないものは出来ない」と、例外はないという態度を貫くことも、繰り返されないために必要かと思います。


「カウンセリングとメンタルヘルス」の講義の内容について

質問はありませんでした。

「ハラスメントに関する労働法」の講義の内容について

質問はありませんでした。

「裁判例解説とハラスメント事案解決法」の講義の内容について


Q1.マタハラ動画 20分あたりの全国重症心身障碍児を守る会事件の解説で、昇給を時短割合に応じて減じたケースが違法となったということですが、例えば、フルタイム週40Hで4千円昇給するところを、時短勤務週30Hで3千円昇給とすることの、違法性がよくわかりません。

時短からフルタイムに復帰した時は、30分の40して4千円になるので、時間当たりの水準は同じであれば特段不利益ということはないと考えるのですが、違うのでしょうか。

【回答】育児等に関する権利制度を利用した際に、ノーワークノーペイを超える不利益を与えることは許されない、という原則の理解が重要です。育児等の権利制度はとても重要なものなので、それを使うことによって将来にわたる不利益があってはならないのです。
 そのため、時短勤務中に、短くなった時間分給与が減る分は、労務提供が減っていますのでノーワークノーペイとして給与がその時間分減るのは問題ありません。しかし、それを超えて、昇給にまで時短勤務割合をかけてしまうと、単に時間勤務をとった時間分を超えて、昇給という将来にわたる賃金に不利益が生じることになってしまいます。つまり、時短勤務をとったことで、昇給しないという不利益を与えることになるので違法になります。