女性労働関係 平成17年度 継続就業女性の就労意識等に関する調査

I アンケート実施の概要

1. 目的

男女雇用機会均等法施行以前から企業に雇用されている40歳以上の男女労働者を対象に、仕事を継続していく上での阻害要因と考えられる出産・育児・介護へ の対応状況や就業を継続するために必要な援助を把握する。また、定年後の就業に関する意識等を把握することにより、仕事を続けることを希望する者が生涯を 通じて働き続けることが出来る就業環境を整備するための参考に資することを目的とする。
同時に企業に対しては、仕事と介護の両立支援制度や定年後の諸制度についてその実態を把握することを目的とする。

2. 調査対象

企業調査  労働者数100人以上の企業 7,000社

労働者調査 対象企業に勤務する40歳以上の男女労働者 84,000人

3.調査実施時期

平成17年10月1日現在

4. 調査方法

通信調査

企業調査  郵送配布、郵送回収

労働者調査 対象企業を経由して配布。回答者から直接郵送回収

5.有効回収数及び回収率

企業アンケート  1,279社 18.3%

労働者アンケート 11,102人 13.2%

6.調査実施期間

財団法人21世紀職業財団

Ⅱ企業アンケート結果の概要

1.回答企業の概要

(1) 産業別の状況

アンケート回答企業1,279社の産業別の状況は、製造業が28.8%、ついで医療,福祉が15.3%、卸売・小売業が13.1%で、この3産業で57.2%を占めている。

(2) 企業規模別の状況

企業規模別状況は、100~299人の中小規模企業が58.9%と全体の6割弱を占め、ついで300~999人規模が26.7%となっている。

2.回答企業の労働者の状況

(1) 40歳以上の年齢層の占める割合

アンケート回答企業の男女あわせた全労働者に占める40歳以上の年齢層の割合は47.6%であり、このうち男性29.9%、女性17.7%であった。
産業別に見ると、40歳以上の占める割合は運輸業(63.6%)が最も高く、ついで、教育,学習支援業(58.4%)、建設業(56.6%)、複合サービス事業(54.5%)の順となっている。最もその割合が低いのは飲食店,宿泊業(26.4%)である。
企業規模別では、1,000~4,999人規模で41.2%と低いのに対し、他の規模ではほぼ平均的な数字となっている。ただし、100人未満の規模では57.4%とやや高い割合となっている。

(2) 60歳以上の年齢層の占める割合

アンケート回答企業の男女あわせた全労働者に占める60歳以上の高年齢者の割合は4.8%であり、このうち男性が3.3%、女性が1.5%であった。
産業別では、教育,学習支援業(14.5%)が最も高い割合となっている。ついでサービス業(11.9%)、運輸業(11.4%)の順となっている。
企業規模別では、100人未満(8.0%)が最も高く、企業規模が大きくなるにしたがってその割合は減少し、5,000人以上の大規模企業では2.3%となっている。

3.仕事と介護の両立支援制度

(1) 制度の有無

アンケート回答企業のうち仕事と介護の「両立支援制度なし」の割合は13.9%、「制度あり」の割合は79.9%と「制度あり」の割合が8割と高い。産業 別に見ると、「制度あり」の割合が高いのは「金融・保険業」(89.6%)、「教育,学習支援業」(88.7%)、「複合サービス事業」(88.7%)、 「建設業」(82.2%)、「医療,福祉」(82.1%)で、8割を超えているのに対し、「制度なし」の割合は「飲食店,宿泊業」(27.3%)、「運輸 業」(24.7%)、「サービス業」(22.0%)が高い。
企業規模別に見ると、企業規模が大きくなるほど「両立支援制度あり」とする割合が増加し、5,000人以上の大企業では87.5%であるのに対し、100人未満の規模では64.3%とその差が大きい。

(2) 制度の内容別導入状況

「制度あり」と回答した企業がどのような制度を導入しているか、その割合を見ると(複数回答)、「介護休業制度」(89.9%)、「短時間勤務制度」 (66.9%) が高い割合を示しているのに対し、「深夜業の免除」(51.3%)、「残業の免除」(42.1%)、「始業・終業時刻の繰上げ又は繰下げ」(38.0%) が5割から4割弱となっている。
また、「休日労働の免除」(23.9%)、「週・月の所定労働日数の短縮」(12.4%)、「フレックスタイム制度」(11.2%)、「介護費用の補助」(1.7%)の割合は低い。(第1図)

(3) 制度別利用者数及び割合

アンケート回答企業で平成16年4月から17年3月までの1年間の各制度の利用実績を見ると、各制度の延べ利用者数は5,341人で、そのうち男性の利用者が54.3%、女性が45.7%と女性よりも男性の利用者の割合が高い。
ただし、回答企業の男性全労働者及び女性全労働者に占める男女の利用者の割合を見ると、男性の利用者は0.9%、女性の利用者は1.1%と女性が男性を上回っている。
各制度の利用者数の割合を見ると、「フレックスタイム制度」の利用者が71.1%と高い割合となっている。他の制度の利用割合はきわめて低い。
特に、性別にみると男性では93.0%が「フレックスタイム制度」の利用であり、女性では「フレックスタイム制度」(45.1%)についで「短時間勤務制度」の利用者の割合が14.6%と高くなっている。
ちなみに、産業別、企業規模別に大きな差は見られない。(第2図

(4) 介護を理由とした離職者数の変化

平成12年の介護保険法施行後における介護を理由とした離職者数の変化を見ると、「増減に変化はない」とする企業が95.3%と高くなっている。
産業別、企業規模別に見ても大きな差は見られない。

4.労働者の健康管理に関する援助(健康管理援助制度)

(1) 制度の有無

「健康管理援助制度あり」の企業の割合は59.2%、「健康管理援助制度なし」は36.6%である。
産業別に「健康管理援助制度あり」の割合を見ると、「情報通信業」(81.5%)、「教育,学習支援業」(80.6%)、「医療,福祉」(70.9%)が8割を超えているのに対し、「飲食店,宿泊業」(36.4%)、「運輸業」(37.0%)が低い割合となっている。
企業規模別に「健康管理援助制度あり」の割合を見ると、5,000人以上規模が81.3%と高い割合を示しているのに対し、他の各規模では6割程度となっている。

(2) 制度の内容別導入状況

「健康管理援助制度あり」と回答した企業がどのような制度を導入しているかを見ると、「病気休暇等の休暇制度」(69.2%)の割合が最も高く、ついで 「企業内の相談窓口」(37.4%)、「社内の産業保健スタッフの設置」(31.7%)、「企業内の診療所」(26.4%)の順となっている。
企業が最も多く導入している制度の「病気休暇等の休暇制度」を産業別に見ると、「金融・保険業」(79.3%)、「情報通信業」(77.3%)で割合が高いのに対し、「製造業」(65.2%)、「複合サービス事業」(66.0%)で低くなっている。
同制度を企業規模別に見ると、5,000人以上の大規模企業で92.3%と非常に高い割合を示しているのに対し、他の各規模では大きな差は見られないが100人未満の小企業で80.0%と高い割合となっている。
「病気休暇等の休暇制度」についで高い割合となっている「企業内の相談窓口」の設置状況は、「飲食店,宿泊業」(75.0%)、「情報通信業」(54.5%)が高いが、他の産業では3割から4割程度となっており、大きな差は見られない。
同制度を企業規模別に見ると、1,000人~4,999人規模で最も高い63.0%となっているが、1,000人未満の規模では4割を下回り、規模が小さくなるに従い措置を講じている企業の割合は低くなっており、100人未満の小規模企業では27.5%となっている。
「社内の産業保健スタッフの設置」では「情報通信業」の54.5%、「企業内の診療所」では「医療,福祉」の62.6%が最も高い割合を示している。(第3図)

(3) 制度の内容別利用状況

制度の内容別利用状況を見ると、「とてもよく利用されている」のは「企業内の診療所」(64.5%)で、他の措置は「やや利用されている」とする割合が5 割前後となっている。「ほとんど利用されていない」とする割合が高いのは「通勤緩和措置や休憩等の時間的配慮」(27.0%)と「企業内の相談窓口」 (25.1%)である。(第4図


5.定年制度

(1) 制度の有無

「定年制度あり」の企業が96.8%と高い割合となっており、「定年制度なし」の割合は0.9%となっている。
産業別に「定年制度なし」の割合を見ると、最も高いのは「情報通信業」(3.7%)となっており、企業規模別では100人未満の小規模企業で「定年制度なし」が2.9%となっている。

(2) 定年年齢

定年年齢は、「60歳」が91.0%で、ついで「65~69歳」が5.0%となっている。
産業別に見ると、「教育,学習支援業」が「61~64歳」(6.6%)、「65~69歳」(39.3%)、「70歳以上」(4.9%)と60歳を超えて 定年年齢を定めている割合が50.8%と高くなっている。ついで、「運輸業」が60歳を超えて定年年齢を定めている割合が16.7%となっている。
企業規模別に見ると、100人未満の小規模企業で60歳を超えて定年年齢を定めている割合が15.4%となっている。

(3) 定年退職者数

回答企業における平成16年4月から平成17年3月までの1年間に定年で退職した労働者は6,065人で、男性が4,614人(76.1%)、女性が1,451人(23.9%)となっている。

(4) 定年まで勤務する労働者の増減傾向

イ 増減傾向

定年まで勤務する労働者の増減傾向を見ると、男性労働者については「年々増加傾向にある」(46.7%)とする企業の割合が「増減に変化はない」 (37.6%)とする割合を上回っているのに対し、女性労働者については「増減に変化はない」(41.8%)とする企業の割合と「年々増加傾向にある」 (40.6%)とする割合がほぼ同じ割合である。
産業別に「年々増加傾向にある」の割合を見ると、男性労働者については「運輸業」(64.1%)、「製造業」(51.7%)、「卸売・小売業」(51.5%)の割合が高い。女性労働者についても「運輸業」(47.4%)、「製造業」(46.1%)の割合が高くなっている。
男女労働者別、企業規模別に「年々増加傾向にある」と回答した企業割合を見ると、男性労働者について定年まで勤務する労働者の割合が「年々増加傾向にあ る」とした企業割合は、企業規模別に見てほとんど差はないが、女性労働者については企業規模が大きいほど、定年まで勤務する労働者が増加傾向にあると回答 した企業割合が高くなっている。

ロ 今後の見通し

定年まで勤務する労働者の今後の見通しを見ると、男性では「年々増加傾向にある」(51.9%)が「増減に変化なし」(38.4%)の割合を上回っており、女性においても男性と同じ傾向にある。
産業別に「年々増加傾向にある」の割合を見ると、男性では「運輸業」(65.4%)、「卸売・小売業」(61.2%)の割合が高い。女性では「運輸業」(52.6%)、「医療,福祉」(52.4%)の割合が高い。
男女労働者別、企業規模別に今後の見通しとして定年まで勤務する労働者が「年々増加傾向にある」とする企業割合を見ると、男女とも企業規模が大きいほど、その割合が高い。

6.定年延長制度

(1)制度の有無

「定年延長制度あり」の企業が21.7%、「定年延長制度なし」の企業は76.6%と、定年延長制度のない企業の割合が高い。
産業別に見ると、「定年延長制度あり」とする割合が他の産業に比べ高いのは「医療,福祉」(39.8%)、「運輸業」(34.6%)であり、「定年延長制 度なし」とする割合が高いのは「金融・保険業」(95.8%)、「複合サービス事業」(94.4%)、「情報通信業」(88.9%)である。
企業規模別に見ると、規模が小さくなるにしたがって「定年延長制度あり」とする割合が高くなっている。100人未満の規模では「定年制度あり」が35.7%と高い割合となっている。

(2)制度の概要

イ 適用要件

「定年延長制度あり」の企業の適用要件を見ると、「特に必要と認めた者に限る」とする割合が55.6%と最も高く、ついで「希望者全員」(25.6%)、「基準に適合する者全員」(16.6%)の順となっている。
産業別に見ると、「運輸業」で「希望者全員」とする割合が53.6%と高い。また、「情報通信業」、「金融・保険業」では「特に必要と認めた者に限る」が100.0%である。

ロ 延長年齢の上限

定年延長の上限年齢は「65~69歳」が52.7%、ついで「61~64 歳」が14.4%となっている。

(3)定年延長制度の適用者数

アンケート回答企業で平成16年度中に定年延長制度の適用を受けた労働者は735人(男性434人、女性301人)で、男性が59.0%を占めている。

(4)勤務形態及び役職の変化

定年延長制度のある企業の定年延長後の勤務形態や役職の変化を見ると、「賃金のダウン」が最も高く61.4%となっている。ついで「役職から外れる」が43.7%、「変化なし」とする割合も27.4%となっている。

7.再雇用制度

(1)制度の有無

「再雇用制度あり」の企業が72.2%、「再雇用制度なし」の企業は26.8%と、「再雇用制度あり」の企業の割合が高い。
産業別に見ると、「再雇用制度なし」とする割合が他の産業に比べ高いのは「情報通信業」(55.6%)、「複合サービス事業」(53.5%)、「金融・保険業」(52.1%)である。
企業規模別に見ると、100人未満の企業で「再雇用制度なし」とする割合が42.9%と高い。5,000人以上の企業では「再雇用制度あり」が100.0%となっている。

(2)制度の概要

イ 適用要件

「再雇用制度あり」の企業の適用要件を見ると、「特に必要と認めた者に限る」とする割合が52.9%と最も高く、これに「基準に適合する者全員」(22.8%)、「希望者全員」(21.5%)がついでいる。
産業別に見ると、「特に必要と認めた者に限る」では「教育,学習支援業」(69.6%)の割合が高く、「希望者全員」は「運輸業」(32.8%)が高い割合を示している。
企業規模別に見ると、「特に必要と認めた者に限る」は企業規模が小さくなるほどその割合が高くなる傾向にある。

ロ 再雇用制度の上限年齢

再雇用制度の上限年齢は「65~69歳」が57.6%を占め、ついで「61~64歳」が12.8%となっている。
産業別にみると、「教育,学習支援業」が「70歳以上」とする割合が41.3%と高い割合を示している。

(3)再雇用制度の適用者数

アンケート回答企業で平成16年度中に再雇用制度の適用を受けた労働者は3,577人(男性2,705人、女性872人)で男性が75.6%を占めている。

(4)勤務形態及び役職の変化

再雇用制度のある企業の再雇用後の勤務形態や役職の変化を見ると、「賃金のダウン」が最も高く86.4%、ついで「役職から外れる」と「雇用契約期間の定めがある」がそれぞれ66.5%となっており、「変化なし」は7.1%となっている。

8.再就職機会の確保対策

(1)対策の有無

再就職の斡旋、起業の支援などの定年後の「再就職機会確保対策あり」の企業は5.4%であり、92.8%は「対策なし」となっている。
産業別に見ると、「定年延長制度なし」と「再雇用制度なし」とする割合が高い「金融・保険業」で「再就職機会確保対策あり」とする割合が16.7%と他の産業に比べ高くなっている。
企業規模別に見ると、企業規模が大きくなるほど「再就職機会確保対策あり」とする割合が高くなる傾向にある。

(2)講じている措置

再就職機会の確保対策として講じている措置は、「関連企業への転籍」が60.9%、「他社への再就職斡旋」が26.1%となっており、「起業等への支援」は2.9%にとどまっている。

(3)再就職機会確保対策の適用者数

アンケート回答企業で平成16年度中に再就職機会確保対策が講じられた労働者は545人(男性510人、女性35人)で男性が93.6%を占めている。

9.離職理由

労働者の離職理由(多いもの3つを回答)を男女別に比較してみると、男性では「転職」(85.2%)、「定年」(63.4%)、「病気」(32.8%)に 集中しているのに対し、女性では「転職」(65.5%)、「結婚」(55.7%)、「妊娠・出産」(37.4%)、「定年」(25.6%)、「育児」 (14.8%)に分散している。
また、「家族の介護」は男性2.3%、女性5.0%となっている。
産業、企業規模別に大きな差は見られない。(第5図

10.男女雇用機会均等法施行の影響

(1)影響の有無

昭和61年に施行された男女雇用機会均等法が企業の雇用管理に与えた影響の有無を見ると、「影響あり」とした企業割合は43.1%であった。
産業別に「影響あり」の割合を見ると、その割合が高いのは「金融・保険業」(72.9%)、「複合サービス事業」(60.6%)、「卸売・小売業」 (54.8%)である。「影響なし」とする割合が高いのは女性の割合が高い「医療,福祉」(75.5%)と反対に女性の割合の低い「運輸業」 (67.9%)である。
企業規模別に見ると、企業規模が大きくなるほど「影響あり」とし、5,000人以上の規模では68.8%が「影響あり」としている。100人未満の企業では「影響あり」とする割合は34.3%となっている。

(2)影響の内容

その影響の内容を見ると、「女性社員も昇進・昇格させるようにした」(47.9%)、「女性社員の勤続年数が伸びた」(45.9%)、「女性社員をいろい ろな職務につけるようにした」(43.2%)、「結婚を理由に退職する社員が減った」(42.1%)、「妊娠・出産を理由に退職する社員が減った」 (41.2%)とする企業が4割を超えている。(第6図)

11.出産や育児等による休業等ハンディとならないような人事管理制度、能力評価制度 (自由記述から抜粋)

休業等で昇格が遅れた事があっても、成績・能力評価制度及び成果評価制度を導入している為、所属部署から推薦された者を審査の上で昇格させるリカバリー人事制度がある。
「役割・職務価値制度」を導入し、出産や育児等がハンディにならないよう努めて いる。
休業期間は勤続年数にカウントする
職務の価値と組織への貢献度を主に評価要素としている。
昇格は本人の立候補により審査するやり方をとっている。休業等は全く障害にはならない。昇級にも差はなし。育児理由による短時間勤務中であっても、昇格は可能。良い人材の確保がなによりも大切なので、場合によっては(通勤が困難な場合など)自宅勤務を認める。
人事評価は、半期ごとに本人の勤務状況を行動姿勢、能力発揮度、成果の要素で評価している。休業中は休業直前の評価結果 を保持し、休業後は、休業直前の評価結果をスタート台として、その後の勤務状況を評価して決定する。その評定結果が昇格賞与に反映される。昇給について は、休業中の昇給分を休業終了時に昇給させている。
「復職後の取扱い」について規定。育児・介護休業後の勤務は原則として休業直前の部署及び職務とするが、本人の希望がある場合及び組織の変更等やむを得ない事情がある場合には部署及び職務の変更を行うことがある。
育児休業後復帰した場合は、休業直前状態(賃金、格付など)で処遇する。
「育児休業規程」に、育児休業期間中に定期昇給日の到来した者について復職後に昇給させることが定めてある。
「定期昇給及び退職金の算定に当たっては、当該期間は通常の勤務をしていることとみなす」と就業規則に明記している。

Ⅲ 労働者アンケート結果の概要

1.回答労働者の属性

回答労働者の男女の割合は、女性50.1%、男性48.8%であり、ほぼ同数となっている。
年齢別の状況は各企業に対し、アンケート回答労働者の選定に当たり、40~49歳、50~59歳及び60歳以上の年齢層からそれぞれ男女2名ずつの選定を 依頼しているため、各年齢層とも20%前後を占めている。女性は40~44歳層が25.3%と最も多いのに対し、男性は60歳以上が22.1%と最も多く なっている。
学歴別の状況は高卒が45.1%と半数近い割合を占め、ついで、大学卒が25.9%となっている。男女別に見ると、女性は高卒が52.3%、ついで短大卒 が27.9%と高卒及び短大卒で全体の80.2%と高い割合を占めているのに対し、男性では大学卒が42.3%と最も多い。
職種別の状況は「事務従事者」(36.1%)が最も多く、ついで「管理的職業従事者(21.5%)、「専門的・技術的職業従事者」(19.8%)の3職種 で77.4%を占めている。男女別に見ると、女性は「事務従事者」が51.8%と全回答者の半数を占めているのに対し、男性は「管理的職業従事者」 (37.4%)が最も多い。
役職別の状況は「役職についたことがない」が31.0%と最も多く、ついで「課長クラス」が20.5%を占めている。男女別に見ると、女性は50.0%が 「役職についたことがない」のに対し、男性では「課長クラス」と「部長クラス」を合わせた「課長以上」が51.1%と管理職層が半数を占めている。
勤続年数別の状況は「20年以上」が45.2%と最も多い。男女別に見ると、男女とも「20年以上」が最も多く、男性では「20年以上」が50.8%と半数を超えている。
雇用形態別の状況は正社員を主体にアンケートを行ったため、男女とも「正社員」が80%前後となっている。
配偶関係別の状況は「配偶者なし」の割合が23.1%となっているが、男女別で見ると、女性では36.4%が「配偶者なし」であるのに対し、男性では9.7%とその割合は低い。

2.職歴及び他の会社の退職理由

(1)職歴

現在の会社に就職するまでの職歴について見ると、「他の会社を退職して、今の会社に勤めている」とする転職経験者が55.7%と最も多く、ついで「学卒後 から継続して、今の会社に勤めている」とする転職経験のない継続就業者が31.8%となっている。また、「他の会社を定年退職して、今の会社に再就職し た」者は5.0%となっている。男女別に見ると、「他の会社を退職して、今の会社に勤めている」とする転職経験者の割合は女性の方が男性より11.5%ポ イント高く、「学卒後から継続して、今の会社に勤めている」とする継続就業者の割合は男性の方が女性より10.7%ポイント高い。
定年後の再就職者の割合は男性が8.2%であるのに対し、女性は1.9%と低い。

(2)他の会社を退職した理由

「他の会社を退職して、今の会社に勤めている」とする転職経験者の他の会社を退職した理由(複数回答)は「仕事内容や職場が自分に合わなかった」 (33.6%)が最も多く、ついで「会社の都合、倒産、リストラ、転籍など」(17.7%)、「結婚」(17.2%)の順となっている。
男女別に見ると、女性については多い順に「結婚」(30.3%)、「仕事内容や職場が自分に合わなかった」(25.2%)、「育児」(13.2%)、「本 人又は配偶者の妊娠・出産」(12.9%)となっており、男性については「仕事内容や職場が自分に合わなかった」(44.1%)、「会社の都合、倒産、リ ストラ、転籍など」(24.5%)、「家庭の事情」(14.2%)等となっており、「結婚」「育児」等は非常に低い。(第1図


3.仕事内容の変化と現在の業務に関連する資格の有無

(1)仕事内容の変化

「他の会社を定年退職して、今の会社に再就職した」及び「他の会社を退職して、今の会社に勤めている」とする者について、男女別に、今の会社での仕事の内 容と以前勤めていた会社の仕事内容の変化について見ると、「同じ仕事内容」とする割合は32.1%、「異なる仕事内容」とする割合は64.9%で、男女に よる差は見られない。

(2)現在の業務に関連する資格の有無

現在の業務に関連する資格の有無を見ると、「資格・免許を持っている」割合は44.4%、「資格・免許を持っていない」とする割合は53.7%となっている。
男女別に見ると、男性(48.3%)の方が女性(40.7%)に比べ「資格・免許を持っている」割合が高い。
また、資格・免許の有無による転職後の仕事内容の変化の状況を見ると、「資格・免許を持っていない」者に比べ、「資格・免許を持っている」者の方が転職又は定年後の再就職に際し「同じ仕事」につく割合が高い。

4.継続就業意識

(1)働く理由

働く理由について見ると(複数回答)、「経済的に働くことが必要であるから」が77.5%と最も多く、ついで「生きがいを持つため又は働くことで社会参加をしたいから」(45.1%)、「働くことは当然であるから」(41.7%)の順となっている。
男女別に見ると、働く理由に大きな差は見られないが、女性の方が男性に比べ「生きがいを持つため又は働くことで社会参加をしたいから」とする割合が高く、「働くことは当然であるから」とする割合が低い。
年齢別に見ると、年齢が高くなるにしたがって「生きがいを持つため又は働くことで社会参加をしたいから」と「働くことで健康に過ごせるから」とする割合が高くなっている。特に、60歳以上では「働くことで健康に過ごせるから」が45.8%と高い割合となっている。(第2図)

(2)働いてよかったと思うこと

働いてよかったと思うことは(複数回答)、「経済的に余裕ができた」(55.8%)が最も多く、ついで「視野が広がった」(55.6%)、「生きがいややりがいを持って生活できた」(45.8%)の順となっている。
男女別に見ると、「経済的に余裕ができた」とする割合が女性の63.8%に対し、男性は48.1%と女性の割合が高い。特に「配偶者あり」の女性では 69.6%が「経済的に余裕ができた」としている。男性では配偶者の有無により「経済的に余裕ができた」とする割合に差は見られない。ただし、女性の「配 偶者なし」では「経済的に余裕ができた」(54.6%)とする割合が男性を(46.2%)を上回っている。

(3)働いて大変だと感じる点

働いて大変だと感じる点は(複数回答)、「責任の重さ」(56.6%)と「職場での人間関係」(56.2%)とする割合が高い。
男女別に見ると、女性では「職場での人間関係」(57.8%)が最も多く、「家庭生活との両立」(48.8%)を上回っている。男性では「責任の重さ」(65.3%)が最も多く、ついで「職場での人間関係」(54.7%)となっている。

(4) 結婚に際しての継続就業意識及び辞めたいと思った又は退職した理由

イ 継続就業意識

結婚の経験のある男女労働者に対し、結婚時に仕事を辞めたいと思ったかどうかその就業意識を見ると、「辞めたいと思わず働き続けた」が59.8%であった が、「辞めたいと思ったが働き続けた」(8.7%)、「辞めたいと思い、退職した」(7.6%)、「辞めたいと思わなかったが、退職せざるを得なかった」 (7.0%)であり、この3つを合わせたものを「辞めたいと思った又は退職した」とすると23.3%となっている。
男女別に見ると、男性では「辞めたいと思わず働き続けた」が84.5%とその割合が高いのに対し、女性では35.6%と低い割合となっている。女性では 「辞めたいと思った又は退職した」者の総数の割合が41.4%と男性に比べ多く、「辞めたいと思ったが働き続けた」(13.3%)と「辞めたいと思い、退 職した」(14.6%)、「辞めたいと思わなかったが、退職せざるを得なかった」(13.4%)がほぼ同様の割合となっている。

ロ 辞めたいと思った又は退職した理由

女性について、結婚の際に「辞めたいと思った又は退職した」とした者について、その理由を見ると、「仕事と両立する自信がなかった」(41.4%)とする 割合が最も高いが、「無理して続けるほどの魅力ある仕事でないと思った」も16.2%に上っていることの他、「結婚退職制があった」とする者も7.9%と なっている。

(5)出産・育児に際しての継続就業意識及び辞めたいと思った又は退職した理由

イ 継続就業意識

本人又は配偶者の出産、育児の経験のある者に対し、出産・育児期に仕事を辞めたいと思ったかどうかその就業意識を男女別に見ると、男性では、「辞めたいと 思わず働き続けた」が71.6%、女性は21.0%となっている。女性については、これに「辞めたいと思ったが働き続けた」(16.2%)、「辞めたいと 思い、退職した」(15.9%)、「辞めたいと思わなかったが、退職せざるを得なかった」(9.9%)が続いており、これらを合わせた「辞めたいと思った 又は退職した」が42.0%(男性は2.5%)となっている。
結果として見れば、女性については「辞めたいと思った者」の半数はそれでも働き続け、残り半数は辞めていることがわかる。

ロ 辞めたいと思った又は退職した理由

女性について、出産・育児期に「辞めたいと思った又は退職した」とした者に ついてその理由を見ると、「自分の手で子育てしたかった」(58.3%)が最も多く、「仕事と両立する自信がなかった」(37.5%)がこれについで高い。(第3図

(6)役に立った育児支援及び最も必要な育児支援

イ 最も役に立った育児支援

出産・育児期に「辞めたいと思わず働き続けた」又は「辞めたいと思ったが働き続けた」と回答した男女労働者について、育児をする上で最も役に立ったものを たずねたところ、「配偶者の協力」(54.2%)が最も多く、これについで多い「配偶者以外の家族の協力」(25.7%)を合わせると79.9%に達す る。
男女別に見ると、男性では「配偶者の協力」が68.6%と高い割合を示しているのに対し、女性では「配偶者の協力」(26.3%)よりも「配偶者以外の家族の協力」(48.3%)が最も役に立ったとしている。又、「保育施設の利用」も14.9%となっている。

ロ 最も必要な育児支援

出産・育児期に「辞めたいと思わず働き続けた」又は「辞めたいと思ったが働き続けた」と回答した者について、育児をする上で最も必要な支援をたずねたとこ ろ、「配偶者の協力」(49.5%)が最も多く、ついで「会社の制度の活用」(16.2%)、「配偶者以外の家族の協力」(14.1%)となっている。
男女別に見ると、男性では「配偶者の協力」が58.2%と高い割合を示しているのに対し、女性では「配偶者の協力」(32.6%)、「配偶者以外の家族の 協力」(21.9%)、「保育施設の利用」(20.3%)、「会社の制度の活用」(19.7%)が同じような割合となっている。

(7)介護の経験の有無と介護に際しての継続就業意識及び辞めたいと思った又は退職した理由

イ 介護の経験の有無

介護を「現在行っている」と回答した男女労働者は7.3%、「行った経験がある」のは19.5%であり、合わせて3割弱となっている。
男女別に見ると、「現在行っている」者の割合はほぼ同じ割合である。「行った経験がある」は女性(23.3%)の方が男性(15.5%)を上回っている。男女とも「行った経験がある」とする割合は年齢が高くなるほどその割合が高くなっている。

ロ 継続就業意識

介護を「現在行っている」又は「行った経験がある」者に対し、家族の介護をしている時に仕事を辞めたいと思ったかどうかその就業意識を見ると、「辞めたい と思わず働き続けた」(65.3%)が最も多く、「辞めたいと思ったが働き続けた」(20.7%)、「辞めたいと思わなかったが退職せざるを得なかった」 (2.6%)、「辞めたいと思い、退職した」(1.9%)であり、この3つを合わせた「辞めたいと思った又は退職した」は31.5%であった。
男女別に見ると、男性では、「辞めたいと思わず働き続けた」が80.9%と高い割合であるのに対し、女性では53.8%とその差が大きい。女性では「辞め たいと思った又は退職した」者の割合が42.3%となっているが、「辞めたいと思ったが働き続けた」(35.3%)割合が高く、結婚や育児に比べ働き続け たとする者の割合が高い。
ハ 辞めたいと思った又は退職した理由
家族の介護の際に「辞めたいと思った又は退職した」と回答した女性労働者に対してその理由をたずねてみると、「無理して続けるほどの魅力のある仕事でない と思った」(45.7%)とする割合が最も高い。男性でも「無理して続けるほどの魅力のある仕事でないと思った」(35.4%)の割合が高い。

(8)役に立った介護支援及び最も必要な介護支援

イ 最も役に立った介護支援

家族の介護に当たり、「辞めたいと思わず働き続けた」又は「辞めたいと思ったが働き続けた」と回答した男女労働者について、介護をする上で最も役に立った ものをたずねたところ、「配偶者の協力」(35.2%)及び「配偶者以外の家族の協力」(23.4%)が高くなっている。また「介護施設・サービスの利 用」も22.3%となっている。
男女別に見ると、男性では「配偶者の協力」が54.0%と高い割合を示しているのに対し、女性では「配偶者の協力」(21.5%)よりも「配偶者以外の家族の協力」(28.0%)の割合が高い。

ロ 最も必要な介護支援

家族の介護に当たり、「辞めたいと思わず働き続けた」又は「辞めたいと思ったが働き続けた」と回答した男女労働者について、介護をする上で最も必要な支援 をたずねたところ、「介護施設・サービスの利用」(35.4%)が最も多く、ついで「配偶者の協力」(27.3%)となっている。
男女別に見ると、女性では「介護施設・サービスの利用」が37.2%と最も高いのに対し男性では「配偶者の協力」(39.1%)の割合が最も高い。

5.健康面について

(1)健康面での不安の有無とその内容

イ 健康面での不安の有無

健康面での「不安あり」(59.8%)が「不安なし」(38.1%)を大きく上回っている。
男女別では、女性の「不安あり」(62.2%)とする割合が男性の「不安あり」(57.4%)を上回っている。
年齢別に見ると、男女とも54歳以下の各年齢層では年齢が高くなるにしたがって「不安あり」とする割合が増加するのに対し、55歳以上では「不安あり」の割合は減少している。

ロ 不安の内容

健康面での「不安あり」の者の不安の内容を見ると(複数回答)、「心身ストレス」(67.4%)、「体力的な不安」(41.6%)、「過労」(33.1%)となっている。
男女別では、男女とも「心身ストレス」、「体力的な不安」、「過労」の順となっているが、女性の方が「体力的な不安」を除きいずれの項目も男性よりも高い割合となっており、「更年期障害」(20.6%)も「過労」(33.7%)につぐ高い割合を示している。

(2)健康面での不安に際しての継続就業意識

健康面で「不安がある」者で、健康面の不安からこれまでに仕事を「辞めたいと思わず働き続けた」(48.4%)と「辞めたいと思ったが働き続けた」(47.2%)を合わせた「働き続けた」とした者の割合が95.6%と高くなっている。
男女別に見ると、女性では「辞めたいと思ったが働き続けた」(54.6%)が「辞めたいと思わず働き続けた」(40.4%)を上回っている。逆に男性は 「辞めたいと思わず働き続けた」(57.5%)割合が「辞めたいと思ったが働き続けた」(38.9%)割合を上回っており、男女の就業意識が逆転してい る。

(3)役に立った健康管理支援及び最も必要な健康管理支援

イ 最も役に立った健康管理支援

健康面に不安を持ちながら働き続ける上で最も役に立った健康管理支援は「配偶者の理解・援助」が49.7%と高い割合を示している。「配偶者以外の家族の理解援助」(17.6%)と「会社の援助」(17.7%)はほぼ同じ割合となっている。
男女別に見ると、男性では「配偶者の協力」が67.0%と高い割合を示しているのに対し、女性では「配偶者の協力」は34.0%となっている。
会社の援助の中で最も役立った援助は(複数回答)、「上司、同僚の理解・援助(71.1%)が最も多く、ついで「病気休暇等の休暇制度」(42.3%)となっている。男女別に見ても大きな差は見られない。

ロ 最も必要な健康管理支援

健康面に不安を持ちながら働き続ける上で最も必要な支援は「会社の援助」で43.4%と高い割合となっている。男女別に見ると、「会社の援助」は、男性(36.9%)よりも女性(49.5%)の割合が高い。
「会社の援助」の中で最も必要な援助を見ると(複数回答)、「上司、同僚の理解・援助」(67.8%)、「病気休暇等の休暇制度」(54.1%)と最も役 に立った支援と同様に高い割合を示している。ついで、「通勤緩和措置や休憩等の時間的配慮」(29.4%)、「企業内の相談体制」(27.5%)となって いる。
男女別に見ても大きな差は見られない。

6.仕事に対する満足度・不満度

(1)仕事の内容・やりがい

現在従事している仕事に対する満足度を5段階別に見ると、「満足」(19.2%)と「やや満足」(40.3%)が59.5%と6割近い。「不満」(2.8%)と「やや不満」(9.8%)は12.6%となっており、満足とする割合が高い。

(2)賃金

賃金については、「不満」(15.7%)と「やや不満」(28.0%)が43.7%を占め、「満足」(8.8%)と「やや満足」(20.1%)の28.9%を上回り、不満とする割合が高い。

(3)労働時間・休日等の労働条件

労働時間・休日等の労働条件については、「満足」(16.3%)と「やや満足」(26.8%)が43.1%を占めており、「不満」(7.9%)と「やや不満」(19.8%)の27.7%を上回り、満足とする割合が高い。

(4)人事評価・処遇のあり方

人事評価・処遇のあり方については、「不満」(12.3%)と「やや不満」(24.0%)が36.3%と「満足」(6.1%)と「やや満足」(15.1%)の21.2%を上回っており、不満とする割合が高い。

(5)教育訓練・能力開発のあり方

「どちらでもない」が47.2%と半数近い割合となっている。「不満」(9.8%)と「やや不満」(22.0%)が31.8%と、「満足」(4.1%)と「やや満足」(13.4%)の17.5%を上回っており、不満とする割合が高い。

(6)職場の人間関係

職場の人間関係では、「どちらでもない」が37.3%と高い割合になっている。「満足」(9.5%)と「やや満足」(26.4%)も35.9%と、「不満」(6.8%)と「やや不満」(17.0%)の23.8%を上回っている。

(7)職場環境

職場環境については、「満足」(9.8%)と「やや満足」(27.0%)で36.8%を占め、「不満」(7.1%)と「やや不満」(17.7%)の24.8%を上回り、満足とする割合が高い。

(8)男女別状況

男女別に見て、満足度(満足及びやや満足)で差が大きいのは「人事評価・処遇のあり方」で、男性の満足とする割合が24.5%に対し、女性は17.8%と6.7%ポイント低くなっている。
また、「教育訓練・能力開発のあり方」、「仕事の内容・やりがい」についてもそれぞれ4.0%ポイント、3.9%ポイント女性の満足度が低い。不満(不満及びやや不満)の割合が各項目全てにおいて女性の割合が男性の割合を上回っている。(第4図)

7.今後の働き方について

(1)いつまで働けるか

今の会社で現在と同じ雇用条件で働き続けられる上限年齢は、「60歳」が46.6% と半数近い。「規定なし」も10.2%となっている。男女別に見て差は見られない。

(2)いつまで働きたいか

今後何歳まで働きたいかを見ると、「まだ決めていない」とする割合が23.3%と高い割合となっている。ついで、「65~69歳」(21.0%)、「年齢に関係なく、いつまでも働き続けたい」(17.9%)の順となっている。
男女別に見ると、男性では「65~69歳」(29.6%)が最も多く、女性では「まだ決めていない」(28.9%)が最も多くなっている。

(3)定年年齢前に辞めたい理由

定年前に辞めたい理由は「仕事以外に趣味、ボランティアなどやりたいことがある」(33.6%)、「体力や健康面で不安がある」(28.9%)の順となっている。
男女別に見ると、女性では「体力や健康面で不安がある」(33.4%)が最も多く、男性では「仕事以外に趣味、ボランティアなどやりたいことがある」(42.7%)の割合が最も高い。

(4)定年年齢以降も働くことを希望する場合の働き方、仕事の内容、就業形態

イ 働き方

定年以降の働き方で希望する働き方は、「今の会社で引き続き働きたい」が32.7%と最も多くなっている。
男女別に見ると、男性では「今の会社で引き続き働きたい」が37.6%と、女性の26.6%に比較して高い割合となっている。

ロ 仕事の内容

定年以降の仕事について希望する内容は、「多少違うものの、これまでの仕事の経験が活かせる仕事」(19.5%)、「今と同じ仕事」(18.1%)の順となっている。
男女別に見ると、男性では「多少違うものの、これまでの仕事の経験が活かせる仕事」(23.7%)とする割合が女性の14.0%を大きく上回っている。

ハ 就業形態

定年以降の仕事について希望する就業形態は、「正社員」が24.5%と最も多くなっている。
男女別に見ると、「正社員」を希望する割合は男性(27.6%)が女性(20.5%)を上回っている。

8.男女雇用機会均等法施行後における女性社員に対する会社の方針及び処遇の変化

(1)変化の有無

「男女雇用機会均等法が施行(昭和61年)されてからの20年間に女性労働者に対する会社の方針や処遇等に変化が見られるか」の問いに対し、「変化がある」(48.9%)とする回答が「変化がない」(41.3%)を上回っている。
男女別に見ると、男性では「変化がある」とする割合が57.9%と、女性の40.4%を上回っている。

(2)変化の内容

変化の内容(複数回答)は、「女性社員も昇進・昇格の機会が与えられるようになった」(46.1%)、「女性社員に対する会社の方針・制度が変わった」(41.8%)、「女性社員もいろいろな職務を経験できるようになった」(34.2%)としている。
男女別に見ると、「女性社員に対する会社の方針・制度が変わった」については、男性は47.9%、女性は33.3%、「女性社員に対する会社の雰囲気や風 土が変わった」については、男性は32.0%、女性は20.1%となっており、それぞれ14.6%ポイント、11.9%ポイント男性が女性を上回ってい る。)

9.働くことについて子どもに伝えたいこと

(1)子どもの状況及び伝えたいことの有無

次世代である自分の子ども(現在就業が37.5%、就学が38.8%)に対し、働くことについて伝えたいことの有無を見ると、「伝えたいことがある」とする割合が59.5%と「伝えたいことがない」(17.6%)を大幅に上回っている。
労働者の男女別には、「伝えたいことがある」は、男性が61.8%、女性が57.5%と男性が女性を上回っている。一方、子どもの性別には、女性労働者で 「伝えたいことがある」のは娘(72.5%)が息子(69.9%)を上回っているのに対し、男性労働者は息子(76.0%)が娘(65.6%)を上回って いる。

(2)子どもに伝えたいことの内容

「伝えたいこと」の内容(複数回答)を子どもの性別に見ると、息子に対しては「働くことの心構え」(78.9%)、「働くことのおもしろさ、大切さ、大変 さ(70.5%)が7割を超えている。娘に対しても同様の傾向となっている。子どもの性別によって差が大きいのは、「女性も家庭にとどまらず、積極的に仕 事をすべきであること」が息子に対しては7.1%に過ぎないが、娘に対しては41.1%と高い割合となっている。「女性が出産・育児によって仕事を辞める ことのないよう男性も協力すべきであること」については子どもの性別による差はそれほど大きくはない。
男女別に見ると、女性労働者、男性労働者とも息子に対しては「女性も家庭にとどまらず、積極的に仕事をすべきであること」がそれぞれ9.9%、4.6%と低い割合となっている。
また、「女性が出産・育児によって仕事を辞めることのないよう男性も協力すべきであること」については、母親は娘(24.6%)についてよりも息子(34.4%)に対し伝えたいとする割合が高くなっている。(第5図

(3)子どもの進学先の選択に際しての助言の有無及び内容

子どもの進学先を選択する際に、「子どもに助言したこと又は助言したいこと」の有無を見ると、「ある」の割合が57.7%と高い。「ない」は16.5%となっている。
助言の内容を見ると、息子に対しては「自分がやりたいことを実現できるところに進学すべきである」が71.6%と最も多く、ついで「希望する就職先や職業 を考えて選択すべきだ」が51.9%となっている。一方、娘に対しては「自分がやりたいことを実現できるところに進学すべきだ」が69.0%と息子に対す ると同様に最も多くなっているが、二番目に多いのは「働き続けることができるための資格技術を身に付けることができるところに進学すべきだ」 (49.1%)であり、「希望する就職先や職業を考えて選択すべきだ」(46.1%)は三番目になっている。
労働者の性別に見ると、娘に対する助言内容は男女労働者ともに「自分がやりたいことを実現できるところに進学すべきだ」が最も多く、女性労働者では「働き 続けることができるための資格技術を身に付けることができるところに進学すべきだ」が二番目に多くなっている。一方、男性労働者は「希望する就職先や職業 を考えて選択すべきだ」が二番目に多くなっており、娘に対しては女性労働者の方が、資格・技術を重視している傾向がうかがわれる。