女性労働関係 平成17年度 女性労働者の処遇等に関する調査
平成17年6月 財団法人21世紀職業財団
I 調査の概要
1.調査の目的
コース別雇用管理制度の運用状況や母性保護措置などの運用状況を含めた企業における女性労働者の処遇や女性労働者の意識などから、特に一般職に対するキャリア形成や就業継続のために必要な支援について把握することを目的とする。
2.調査の対象
・企業調査 労働者数100人以上の企業13000社
・女性労働者調査 対象企業に働く女性労働者を対象とする
廃止した企業
一般職の女性労働者 各企業2名
専門職の女性労働者 各企業2名
準総合職の女性労働者 各企業2名
総合職の女性労働者 各企業2名
・コース別雇用管理制度を実施していない企業
女性労働者 各企業2名
3.回収数及び回収率
企業調査 2528票(19.4%)
女性労働者調査 6445票
4.調査時期
平成16年12月~平成17年1月
5.調査機関
財団法人21世紀職業財団
6.調査方法
郵送調査
7.調査票
「女性労働者の処遇等に関する調査 -企業調査-」
「女性労働者の処遇等に関する調査 -女性労働者-」
II 調査結果の概要
1.企業調査
(1) コース別雇用管理制度の実施状況
コース別雇用管理制度を「実施している」企業は18.0%、「実施していない企業」が79.4%となっている。
「実施していたが、現在は廃止した企業」は1.1%である。
産業別に見ると、コース別雇用管理制度を実施している企業の割合が多いのは金融・保険業(39.7%)、ついで、建設業(24.8%)、卸売・小売業(22.5%)の順となっている。実施していないとする企業が多い産業は飲食店、宿泊業(93.3%)、教育・学習支援業(92.3%)、医療・福祉(92.0%)である。
企業規模別では、1000人以上の規模では30%前後が「実施している」のに対し、企業規模300人未満では実施している企業は10%強である。(第1図)
(2) コース別雇用管理制度の実施理由
コース別雇用管理制度の実施理由は「人材育成・配置を効率的、効果的に行うため」が68.8%、ついで「労働者の就労ニーズの多様化へ対応するため」が49.6%となっている。(第2図)
産業別に見ると、コース別雇用管理制度実施割合の多い金融・保険業では「人材育成・配置を効率的・効果的に行うため」(79.6%)、「労働者の就労ニーズの多様化へ対応するため」(66.7%)の割合が高い。
(3) 「一般職」の仕事の内容
「一般職」の仕事の内容は、「必要とされる習熟度合いは配属部門により異なる」(49.5%)とする企業の割合が多いが、「新入社員が1~2年で習熟する 業務」(28.4%)と「新入社員が3~5年で習熟する業務」(19.0%)で47.4%を占めている。これに対し「新入社員が6年以上で習熟する業務」 (0.7%)とする企業はほとんどない。
(4) 「一般職」の配置転換の実施状況
「一般職」の配置転換は「会社や本人の都合により必要が生じたときに実施している」が75.8%、「定期的に実施している」、「ほとんど又は全く行っていない」がそれぞれ11.7%となっている。
産業別では、コース別雇用管理制度の実施割合が多い金融・保険業で「定期的に実施している」割合が60.9%となっているのに対し、「ほとんど又は全く
行っていない」とする企業は2.2%である。一方、情報通信業及び運輸業では、「ほとんど又は全く行っていない」とする割合がそれぞれ42.9%、
23.1%となっている。
(5) 「一般職」に対する教育訓練
「一般職」のコース有りとする企業のうち、「一般職」に対し「教育訓練を実施している」企業は93.0%、「実施していない」とする企業は6.6%である。
教育訓練の内容は「新入社員研修以外にも実施」が72.7%、「新入社員研修を実施」が45.2%となっている。
(6) コース別の昇進・昇格限度
コース別に管理職のどの地位まで昇進・昇格が予定されているかを見ると、「一般職」では「管理職になることを予定されてない」とする企業が47.2%を占めているが、「係長相当職まで予定されている」とする企業は26.8%、「課長相当職まで予定されている」が13.8%、「部長相当職まで予定されている」とする企業は7.0%である。(第3図)
一方、「総合職」の昇進・昇格については66.7%の企業が「部長相当職まで予定されている」としている。
(7) コース別雇用管理制度の見直し状況
コース別雇用管理制度を「現在実施している又は実施していたが現在は廃止した」企業のうち、今後「見直す考えはない」とする企業が51.7%、「見直す考えあり」とする企業が26.9%となっている。「既に見直した」とする企業も17.6%ある。
企業規模別に見ると、5000人以上の大企業では、「見直す考えあり」とする割合と「見直す考えはない」とする割合がそれぞれ40.0%となっている。
(8) コース別雇用管理制度の見直しの理由
コース別雇用管理制度を今後「見直す考えあり又は既に見直した」とする企業の見直しの理由は、「就業意識や取り巻く環境の変化に対応できるようにするため」が70.2%と一番多く、ついで「事実上の男女別雇用管理になりかねないため」と「一般職の戦力化を図ることが必要であるため」とする割合がそれぞれ32.6%となっている。
産業別に見ると、運輸業と金融・保険業では、「一般職の戦力化を図ることが必要であるため」とするのはそれぞれ46.7%、44.0%と多い。
また、企業規模が大きいほど「一般職の戦力化を図ることが必要であるため」とする割合が高くなっている。
「一般職の戦力化を図ることが必要であるため」とした企業のうち具体的な戦力化の内容として「総合職や準総合職等へのコース転換をしやすくする」と答えた企業が50.0%となっている。ついで、「一般職のコース区分の業務内容・処遇を見直す」が34.3%となっている。
(9) 女性労働者の離職理由
企業が把握している「女性労働者の離職理由」として多いのは、「結婚」(63.3%)、ついで「転職」(55.7%)、「妊娠・出産」(44.0%)の順となっている。(第4図)
産業別に見ると、金融・保険業では「結婚」が最も多く81.7%となっており、次いで「出産」(56.3%)となっている。また、「飲食店、宿泊業」と「医療・福祉」では「転職」がそれぞれ88.9%、71.3%と多く、「教育、学習支援業」で「定年」とする割合が60.4%と多い。
また、企業規模別に見ると、規模の大きい企業ほど「妊娠・出産」、「育児」を離職理由とする割合が高い。
(10) 女性労働者の就業継続状況
妊娠・出産後の就業継続状況は、「ほとんどの者が妊娠・出産後も就業を継続している」(43.9%)、ついで「妊娠・出産後も継続している者もいるが離職する者が多い」(39.2%)であるが、「これまで妊娠・出産後に就業を継続している者はいない」も8.3%となっている。(第5図)
産業別にみると、飲食店、宿泊業、卸売・小売業においては「妊娠・出産後も継続している者もいるが離職する者が多い」とする割合が多いのに対し、医療・福祉、教育、学習支援業では「ほとんどの者が妊娠・出産後も就業を継続している」とする企業の割合が多い。
企業規模別には、1000人以上の規模では「ほとんどの者が妊娠・出産後も就業を継続している」よりも「妊娠・出産後も就業を継続している者もいるが離職する者が多い」とする企業の割合が多いのに対し、1000人未満の企業ではこの割合が逆転する。
(11) 賞与及び定期昇給の算定に当たっての「産前産後休業」の取扱い
賞与や定期昇給の算定に当たっての「産前産後休業」の取扱いを見ると、賞与については、「労働者の出勤状況を考慮しているが、不就業期間とする」企業の割合が50.7%と一番多く、ついで「不就業期間を就業したものとみなす」が26.1%となっている。
定期昇給については、「定期昇給時に昇給する」が49.3%と一番多く、ついで「休業期間中に定期昇給は行わず復職後の定期昇給に持ち越す」が22.7%となっている。
(12)賞与及び定期昇給の算定に当たっての「妊娠中及び出産後の症状などに対応する休業」の取扱い
賞与や定期昇給の算定にあたり「妊娠中及び出産後の症状などに対応する休業」の取扱いを見ると、賞与については、「労働者の出勤状況を考慮しているが、不就業期間とする」企業の割合が55.7%と一番高く、ついで「不就業期間を就業したものとみなす」が14.2%となっている。
定期昇給については、「定期昇給時に昇給する」が43.2%と一番多く、ついで「休業期間中に定期昇給は行わず復職後の定期昇給に持ち越す」とする企業が23.9%となっている。
2.女性労働者調査
(1) 女性労働者のプロフィール
イ 年齢別構成
年齢構成は25歳~29歳層が22.4%、ついで30歳~34歳層が20.9%、45歳以上層が20.2%となっている。
ロ 所属コース
コース別雇用管理を実施している企業に所属する女性労働者は回答者の45.4%、コース別雇用管理を実施していない企業に所属する回答者は54.6%である。
コース別ありの企業に所属する女性労働者(45.4%)の所属コースは「一般職」が27.5%、ついで「専門職」が(8.1%)、「総合職」(7.9%)の順となっている。
コース別ありの企業の年齢階層は、35歳未満の層が58.2%、35歳以上層が41.4%であるのに対し、コース別がない企業の女性労働者の年齢階層は35歳未満層が50.9%、35歳以上層が47.9%であり、年齢が高い層の割合がコース別ありの企業に比べ高い。
ハ 役職
役職は「一般社員」が全体の80.5%と最も多く、ついで「係長相当職」(11.3%)、「課長相当職」(4.5%)の順となっている。
コース別ありの企業の役職は83.3%が「一般社員」であるのに対し、コース別がない企業の場合は、「一般社員」が78.1%、「係長相当職」が
12.2%、「課長相当職以上」も4.6%を占めており、コース別がない企業のほうがコース別ありの企業に比べ役職の割合が高い。また、このうちコース別
ありの企業の「一般職」では一般社員が92.3%と高い。
コース別ありの企業の「総合職」及び「専門職」は「課長相当職以上」がそれぞれ9.3%、10.9%となっている。
ニ 勤続年数
勤続年数は「5年以上10年未満」が24.2%と一番多いが、「15年以上」の勤続年数の層も同程度の24.1%となっている。
コース別ありの企業は、「10年未満」の勤続年数が58.6%であるのに対し、コース別がない企業の場合は「10年未満」は49.4%とコース別のある企業の「一般職」の方が勤続年数が短い層が多い。
また、コース別ありの企業では「15年以上」の勤続年数の割合が20.9%であるのに対し、コース別がない企業の場合「15年以上」の勤続年数の割合が26.8%と多い。
ホ 配偶者の有無
配偶者の有無は「配偶者なし」が57.2%、「配偶者あり」が41.1%となっている。
ヘ 子どもの有無
子どもの有無は「子どもなし」が59.2%、「子どもあり」が35.2%となっている。
ト 末子の状況
「子どもあり」の者のうち、末子の子どもの状況は「中学生以上」が50.6%、ついで「小学校就学未満」(28.8%)、「小学生」(17.1%)となっている。
チ 子どもの人数
「子どもあり」の者のうち、子どもの数は「2人」が52.0%、ついで「1人」(29.2%)、「3人」(17.7%)となっている。
(2) コース選択理由
今のコースを選択した理由は、「自分の能力に見合ったコースだったため」が27.0%と一番多く、ついで「やりがいが感じられる仕事をしたかったため」(25.6%)、「定型的な業務が自分に向いているため」(20.0%)となっている。
これをコース別に見ると、総合職は「やりがいが感じられる仕事をしたかったため」(59.1%)、「自分の能力に見合ったコースだったため」(24.0%)、「専門性を活かした仕事がしたかったため」(20.3%)としているのに対し、一般職では「自分の能力に見合ったコースだったため」(29.9%)が最も多く、これに「定型的な業務が自分に向いているため」(29.4%)、「残業があまりないなど、仕事と生活のバランスがとれるため」(22.8%)が続いている。(第1図)
(3) コース転換希望の有無及び転換希望コース
各コースともコース転換を「希望する」割合は5%前後と低く、これに対し「希望しない」とする割合は各コースとも60%強を占めている。「転換制度がない」とする割合も15.4%ある。
準総合職と総合職では、「既に現在のコースに転換した」とする割合がそれぞれ20.0%、14.4%となっている。
「一般職」では65.2%が「コース転換を希望しない」としている。
また、「一般職」で転換を希望するのは5.4%と少ないが、転換を希望する者の中では「総合職に転換希望」(36.8%)、ついで「専門職に転換希望」(28.4%)となっている。
「総合職」でも「転換を希望する」のは6.3%と少ないが、転換を希望する者の中では「一般職に転換希望」とする割合が62.5%となっている。(第2図)
(4) コース転換を希望した理由
「転換を希望する者と既に転換した者」の転換希望理由又は転換理由を見ると、「もっとやりがいのある仕事がしたい」(41.9%)、「マンネリ化しているので、新しいことに挑戦したい。」(33.6%)となっている。
特に、「一般職から総合職へ転換を希望する者」について、その転換理由をみると、「もっとやりがいのある仕事がしたい」(60.0%)と「今のコースでは処遇に不満だから」(37.1%)といった理由をあげる割合が高くなっている。(第3図)
(5) コース転換を希望しない理由
コース転換を希望しない理由は「今の仕事にやりがいがあり、満足しているから」(42.0%)と「今の処遇で特に不満はないため」(40.5%)とする割合が高い。
「総合職」と「専門職」では、「今の仕事にやりがいがあり、満足しているから」とする理由が5割を超えている。また、「専門職」において「今の処遇で特に不満はないため」とする割合が他のコースに比べやや少ない。
また、「準総合職」と「一般職」で「転勤したくないため」(27.1%、18.6%)、「仕事の責任が重くなる」(17,1%、17.6%)といった理由が他のコースに比べ多い。(第4図)
(6) コース転換に関し企業に求める支援策
コース転換に関し会社に求める支援としては「転換のための情報提供、相談対応」(26.9%)と「コース転換者に対する配置後の配慮などサポート体制」
(20.1%)が多く、各コースとも同様な割合となっている。一方、「コース転換のための要件緩和」を求めるものは8.8%に過ぎない。
なお、コース転換に関し緩和を希望する事項をみると「経験、在籍年数の廃止又は緩和」が53.6%、ついで「上司の推薦の廃止又は緩和」で38.1%である。
(7) 配置転換経験の有無
配置転換の経験がある者は44.3%、経験のない者が53.1%である。コース別ありの企業の「総合職」と「準総合職」ではそれぞれ52.4%、56.7%が配置転換を経験しているのに対し、「一般職」では配置転換を経験している者は37.6%と少ない。
コース別がない企業の女性労働者の場合は、50.8%が配置転換を経験していない。
勤続年数別に見ると、勤続年数が長くなるほど経験ありとする割合が高くなるが、勤続年数15年以上であっても、配置転換の経験のない者が35.9%となっている。
配置転換ありの者の配置転換の回数は、1回が41.7%、2回が20.1%である。
また、配置転換ありの者の転居を伴った配置転換を経験した者は11.9%と少なく、最も少ないのがコース別なし企業の10%で、コース別ありの「一般職」で11.4%であるが、総合職でも20.7%である。
(8) 配置転換についての考え方
配置転換についての考え方は様々であり、最も多いのが「自分は配置転換をすることはほとんどないのでわからない」が22.7%となっているが、「出来れば
配置転換はしたくない」も21.5%となっている。ついで「転居を伴わない配置転換ならば積極的に配置転換に応じたい」(19.7%)、「昇進・昇格に必
要であっても転居を伴う配置転換はさけたい」(10.6%)の順となっている。
コース別ありの企業のコース別で見ると、「総合職」では「転居を伴う配置転換でも積極的に応ずる」と「昇進・昇格に必要なら転居を伴う配置転換に応じても
よい」を合わせると26.5%となっている。「一般職」では、両者を合わせても10%未満であり、その一方、「自分は配置転換をすることはほとんどないの
で分からない」と「できれば配置転換をしたくない」を合わせると50%を超える。
コース別がない企業の女性労働者の場合も総合職以外のコースと同じような傾向となっている。(第5図)
(9) 教育訓練の状況
教育訓練の受講状況は、「新入社員研修」は65.5%が、「業務の遂行に必要な能力を付与する研修」は53.1%が受講している。
役職別に見ると、係長相当職と課長相当職では「階層別研修」をそれぞれ44.2%、49.7%が受講している。また、「業務の遂行に必要な能力を付与する研修」についてもそれぞれ65.4%、72.3%が受講している。
(10) 教育訓練に対する希望
今後の教育訓練に対する希望としては、「キャリアアップの動機付けとなる研修への参加機会が欲しい」が39.1%、ついで「自己啓発のための情報提供や金銭面での支援が欲しい」が32.6%となっている。
(11) キャリアアップのための自己啓発の状況
キャリアアップのための自己啓発の状況は「特にしていない」が50.0%、ついで「資格取得又はそのための勉強」が34.2%となっている。「社内、社外のネットワークへの参加」はごくわずかとなっている。
コース別ありの企業のコース別で見ると「総合職」では「資格取得又はそのための勉強」(50.0%)と「特になにもしていない」(30.1%)となっているのに対し、「一般職」では前者が30.7%、後者が57.0%となっている。
コース別がない企業の女性労働者の場合は、コース別の「一般職」と同様の傾向がみられる。(第6図)
(12) 自分の昇進・昇格についての考え方
今の会社での自分の昇進・昇格についての考え方は、「仕事内容に見合ったもので満足している又は不満はない」が49.2%と半数近くを占めている。コース別のある企業のコース別に見ても、コース別がない企業の女性労働者の場合をみてもその差はあまりない。
一方、準総合職では、その他のコースに比べ、「将来的に昇進・昇格に限度があるので不満」、「仕事の内容に見合った昇進・昇格がなく不満」が、それぞれ22.5%、18.3%と、やや高い。
勤続年数別に見ると、勤続年数が長くなるほど「男性に比べ昇進・昇格が遅いので不満」とする割合が多くなり、勤続年数15年以上では18.8%となっている。
(13) 同じ雇用管理区分の男性との昇進・昇格の差についての考え方
同じ雇用管理区分の男性と比べた昇進・昇格の差については、「あると感じている」が46.9%、「ないと感じている」が29.9%である。
コース別のある企業の「総合職」では52.8%が、「一般職」では51.9%が「あると感じている」となっている。
勤続年数別にみると、勤続年数が長くなるほど「あると感じている」とする割合が高くなる傾向にあり、勤続年数が「3年以上5年未満」の者ではその割合が38.9%であるのに対し、15年以上では58.0%に達している。(第7図)
(14) 管理職になる希望の有無及びその理由
管理職になることの希望の有無を見ると、「管理職になりたくない」が49.1%、「わからない」が31.4%となっている。
コース別に見ると、「管理職になりたくない」の回答が、一般職の55.3%で多いが、総合職でも29.7%がなりたくないとしている。
「一般職」では「なりたくない」が55.3%、「わからない」が33.6%となっている。
管理職になりたい理由は「やりがいのある仕事ができるから」(55.5%)、「職業人として成長するから」(51.5%)、「賃金等処遇が改善されるから」(44.0%)となっている。
勤続年数別に見ると、勤続年数15年以上の者で、「多くの男性は管理職になるから又はなっているから」と答えている割合が20.7%となっている。
一方、管理職になりたくないとする者の理由は、「責任が重くなるから」(42.8%)、「仕事と家庭の両立が図れる自信がないから」(39.6%)、「今のままで特に不満はないから」(36.4%)となっている。
コース別に見ると、総合職や専門職で「仕事と家庭の両立が図れる自信がないから」とする者の割合が高くなっている。(第8図)
(15) 入社経緯
今の会社へ入社した経緯は、「学校卒業後今の会社へ」が55.9%、「他の会社に勤めた後今の会社に転職」が29.6%を占めている。「結婚・出産で一旦仕事を辞めて再就職した」も11.3%を占めている。
コース別ありの企業のコース別では、「総合職」では「学校を卒業した後すぐに今の会社に入社」(76.6%)が多い。「専門職」では、「他の会社に勤めた
後に今の会社に転職した」(37.0%)が最も多く、ついで「学校卒業後すぐに今の会社に入社」(36.2%)の順になっている。
「結婚・出産で一旦仕事を辞めて再就職した」者の前の仕事を辞めた理由は「仕事と家庭の両立支援策が整っていなかったから」が33.3%となっている。
(16) 就業継続の意思
就業継続について、「今の会社を辞めようと思ったことがある」とするものが69.9%、「思ったことがない」が28.9%となっている。年齢別、コース別、役職別、勤続年数別、配偶者の有無、末子の状況別に見ても大きな差は見られない。
会社を辞めずに踏みとどまれた理由は「生活のため」(56.5%)が最も多く、ついで「仕事に対する責任感、使命感があったため」(29.1%)、「転職は無理と思ったため」(27.4%)の順となっている。(第9図)
コース別ありの企業の「一般職」とコース別がない企業の女性労働者では、「生活のため」が他のコースに比べ高く、「やりがいのある仕事だったため」や「仕
事に対する責任感、使命感があったため」は少ない。その一方、「総合職」や「準総合職」では「仕事に対する責任感、使命感があったため」「仕事から得るも
のが多いため」が相対的に多い。年齢別、勤続年数別、配偶者の有無別、末子の状況別に大きな差は見られないが、役職別では「課長相当職以上」で、「仕事に
対する責任感、使命感があったため」(54.8%)、「やりがいのある仕事だったため」(36.0%)とする割合が他に比べ高い。
(17) 就業継続を困難にする理由
就業継続を困難にする理由で最も多いのは、「育児」で75.4%となっており、年齢が高くなるにしたがってその割合は減少するものの各年齢層ともその割合
は高い。ついで、「介護」は47.2%となっており、年齢が高くなるほどその理由の割合は増大する。「家事」を理由とする割合は各年齢層とも大きな開きは
ない。
その他の理由としては、「家族の理解のなさ」(29.5%)や「夫の転勤」(28.5%)が続いている。(第10図)
(18) 就業継続のために必要なこと、会社に希望すること
今の会社で働き続ける上で必要なことは、「子育てしながらでも働き続けられる制度や職場環境」(51.7%)、ついで、「やりがいが感じられる仕事の内容」(50.5%)、「育児や介護のための労働時間面での配慮」(41.3%)となっている。(第11図)
年齢別に見ると、40歳未満の各年齢層では、「子育てしながらでも働き続けられる制度や職場環境」とする割合が60%程度となっているのに対し、35歳以上の各年齢層では「やりがいが感じられる仕事の内容」の割合が5割強を示している。
また、今の会社で働き続けるために希望することは「育児や介護のための労働時間面の配慮」(35.2%)と「男女均等な待遇と公正な人事評価の徹底」(32.0%)、ついで「職場風土の改善」(29.9%)となっている。
年齢が高くなるほど、また、勤続年数が長くなるほど「男女均等な待遇と公正な人事評価の徹底」を希望する割合が高くなる。