【2回目 状況調査】男女正社員対象 ダイバーシティ推進状況調査(2020年実施)
調査概要
実施日時:2020年1月11日~1月27日
調査方法:WEBアンケート調査
調査対象: 10業種、従業員100人以上企業に勤務している20~59歳の男女正社員(管理職以外の一般社員)
有効回答数:男性2,250名 女性2,250名 計4,500名
規模割付:企業規模100~299人 男性 750名、女性 750名
企業規模300人~ 男性1,500名、女性1,500名
年齢層割付:
*2018年調査は、 女性のみについて、301~500人、501~1,000人、1,001~3,000人、3,001~5,000人、 5,001~10,000人、10,001人以上に分けて集計している。
2020年調査は、男女について、政府統計にならい、100~299人、300~499人、500~999人、1000~2,999人、3,000~4,999人、5,000~9.999人、10,000人以上に分けて集計している。
<男女別 企業規模別 業種比率>
*業種では割付けず、100~299人企業、300人以上企業で、男女それぞれ、100名以上確保するようにした。また、「不動産業、物品賃貸業」「宿泊業、飲食サービス業」「生活関連サービス業、娯楽業」はサンプル数が少なかったため、3つをまとめた形で分析した。
<参考:就業構造基本調査>
調査結果からわかった主なポイント
1 女性活躍推進の行動計画の浸透が不十分
2 出産後の就業継続環境はやや改善
3 依然として業務配分についての男女差が認識されている
4 女性は育成や昇格・昇進に男女差を感じているが、昇進意欲がないとは言えない
5 短時間勤務にキャリアアップ上の課題がある
6 柔軟な働き方がしやすい職場のほうが育児にかかわる時間が確保できる
7 キャリア自律支援が十分でない
8 ハラスメントのある職場、思ったことが自由にいえない職場が多い
1 女性活躍推進の行動計画の浸透が不十分
1-1.女性活躍推進法が施行されて4年たつが、自社の女性活躍推進の行動計画の認知度は低い
・女性活躍推進の行動計画の「内容を知っている」「おおよその内容を知っている」人の割合は、1万人以上企業でさえ低く、男性で32.6%、女性で40.9%である。
・規模が小さくなるほど認知度が低い傾向である。
1-2.自社の女性活躍推進の行動計画の認知度は業種によって違いがある
・300人以上企業について業種別に見ると、男性では、「金融業、保険業」で「内容を知っている」「おおよその内容を知っている」人が39.1%と最も高い。その他の業種では2、3割である。
・女性でも「金融業、保険業」で「内容を知っている」「おおよその内容を知っている」人が39.9%と最も高い。最も低い「不動産、宿泊業等」では21.7%である。
1-3.自社の女性活躍推進の行動計画の認知度は2年前と比べ高まっていない
・女性について、2年前の調査と比較すると、500~999人企業では、「知っている」「おおよそは知っている」人の割合がやや高まったが、それ以外の規模の企業では低くなっている。
・300~499人では、未だ認知度が低い。
1-4.自社の女性活躍推進の行動計画の認知が進んでいる場合、昇進意欲が高い
・女性について、女性活躍推進の行動計画の認知別に昇進意欲を見たところ、100~299人企業でも、300人以上企業でも、総合職(エリア総合職を含む)でも、自社の行動計画を知っている場合は、知らない場合や計画がない・計画があるかないかを知らない場合に比べて、「管理職になりたい」「管理職に推薦されればなりたい」の割合が、高い。
2 出産後の就業継続環境はやや改善
2-1.「出産しても働き続けるのが当然という雰囲気」を感じる女性は2年前に比べやや増加
・女性について、2年前の調査と比較すると、女性は出産しても働き続けるのが当然という雰囲気が「ある」「どちらかと言えばある」人の割合は、微増しており、特に「ある」と答えた割合は3%ポイント以上増加して30%を超えている。
2-2.特に男性は、企業規模が大きいほど女性が出産後働き続ける雰囲気があると感じている
・女性は出産しても働き続けるのが当然という雰囲気が「ある」「どちらかと言えばある」と回答している人の割合を企業規模別に見ると、男性では、100~299人企業で45.6%、300~499人企業で53.5%、500~999人企業で57.8%、1000~2999人企業で61.4%、3000~4999人企業で62.6%、5000~9999人企業で63.1%、1万人以上企業で72.4%、と、規模が大きくなるに従い、高くなっている。
・男性より女性のほうが「ある」「どちらかと言えばある」と回答している人の割合が高いのは、女性は、「出産後働き続けやすい職場」で就業継続しているからだと推察されるため、男性の回答のほうがより現実を反映していると思われる。
2-3.「女性が出産しても働き続けるのが当然という雰囲気の有無は、業種により差がある
・300人以上企業について、業種別に見ると、男性でも、女性が出産しても働き続けるのが当然という雰囲気が「ある」「どちらかと言えばある」と回答している人が6割を超える業種が過半を占めている。特に、製造業、情報通信業では7割を超えている。
・女性についても、運輸・郵便業、卸売業・小売業では、出産後働き続けるのが当然という雰囲気について「ない」「どちらかと言えばない」と回答した人が30%を超える一方、情報通信業、金融業・保険業では16%前後と低くなっている。
2-4.柔軟な働き方がしやすい職場ほど出産しても働き続けるのが当然という雰囲気がある
・男性について、女性は出産しても働き続けるのが当然という雰囲気が「ある」「どちらかと言えばある」人の割合を柔軟な働き方のしやすさ別に見ると、柔軟な働き方が「しやすい」人では77.9%、「どちらかというとしやすい」人では73.7%、「どちらかというとしづらい」人では61.5%、「しづらい」人では59.0%と、柔軟な働き方がしやすいほうが高くなっている。
<参考:男女別 地域別 集計>
3 依然として業務配分についての男女差が認識されている
3-1.総合職では、男女とも、半数以上が重要な仕事は「男性が担当することが多い」と思っている
・「重要な仕事は男性と女性どちらが担当することが多いと思いますか」に対し、「男性が担当することが多いと思う」人が、100~299人企業でも、300人以上企業でも、男性で約5割、女性で約6割である。
・総合職では、男女とも半数以上が重要な仕事は「男性が担当することが多い」と思っている。
・男女の業務配分に差のある実態が認識されており、背後には経営者や管理職の側にアンコンシャスバイアスが存在する可能性がある。
3-2.重要な仕事は「男性が担当することが多い」と思っている女性の割合が2年前に比べ低くなっていない
・女性について、2年前の調査と比較すると「男性が担当することが多いと思う」人の割合が低くならず、高くなってしまっている。総合職(エリア総合職含む)女性を見ても、2年前の調査と比較して、高くなっている。
・総合職では、男女とも半数以上が重要な仕事は「男性が担当することが多い」と思っている。
・重要な仕事が与えられるということは育成の大切な要素の一つであるため、この調査結果から、女性の育成が進んでいないことが推察される。
3-3.2018年と2020年の結果を比較すると、業務男女均等度と就業継続可能性との両方が高まった業種はない
<参考:男女別 地域別 集計>
3-4.「サポート的な仕事・細かい事務処理は女性に任せられることが多い」と思う女性は5割弱、総合職では4割程度
・「丁寧な対応が求められる仕事や、サポート的な仕事、細かい事務処理は男性と女性どちらに任せられることが多いと思いますか」に対し、「女性に任せられることが多いと思う」と回答した人が、100~299人企業でも、300人以上企業でも、男性は2割、女性で5割弱である。
・総合職に絞って見ると、女性では、4割以上がサポート的な仕事は「女性に任せられることが多い」と思っている。
4 女性は育成や昇格・昇進に男女差を感じているが、昇進意欲がないとは言えない
4-1.総合職女性において、2年前と比べ、「男女同様に育成している」割合がやや高まっている
・「あなたの上司(管理職)は、女性部下を男性同様に戦力として育成していますか」に対して「同様に育成している」と回答した女性の割合は、2年前と比べ、低下している。
・しかし、総合職(エリア総合職)女性においては、「同様に育成している」と回答した人の割合は2年前と比べ、やや高まっている。
・一方、「部下の育成に重点を置いていない」の割合が2年前と比べ高まっている。
4-2.昇格・昇進において性別による差があると考える女性の割合は、2年前とほとんど変わっていない
・女性について、2年前の調査と比較すると、依然として、「男性のほうが昇格・昇進しやすいと思う」人の割合が6割を超えている状態が続いている。
・総合職(エリア総合職)女性においては、「男性のほうが昇格・昇進しやすいと思う」人の割合が2年前と比べやや高まっている。
・「女性のほうが昇格・昇進しやすいと思う」人の割合がやや増えた。これは、一部の企業で、女性活躍推進計画の数値目標を達成するために、女性の昇格・昇進をポジティブアクションとして進めているからであると思われる。
4-3.昇進可能性のある若手女性では、昇進意欲のある人が約6割もいる
・昇進可能性があると思っている20代・30代について、「あなたは、管理職になれるとしたらどう思いますか。」に対し、「管理職になりたい」「管理職に推薦されればなりたい」と回答した人の割合を男女別コース別に見ると、総合職の女性だけでなく一般職や事務職の女性においても、約6割もいる。
4-4.男性より女性のほうが上司から期待を言葉で伝えられている人の割合が高い
・上司からの期待について、コース別・仕事別に男女で比較すると、女性のほうが上司から「期待と言葉で伝えられている」割合がどのカテゴリーにおいても高い。
4-5.1万人以上企業では、男性より女性はキャリア形成の視点から異動や担当替え後の役割の説明を受けている人がやや多い
・「これまで、異動や担当替えになる時に、キャリア形成の視点から異動や担当替え後の役割の説明を受けたことはありますか。」に対し「ある」と回答した人の割合を企業規模別男女別に見ると、1万人以上企業では男性より女性のほうが高くなっている。
4-6.サービス業と建設業で、育成男女均等度と就業継続可能性とが高まった
5 短時間勤務にキャリアアップ上の課題がある
5-1.短時間勤務者は難易度を下げた仕事が与えられていると認識している人が約5割
・「短時間勤務者は難易度を下げた仕事が与えられていると思いますか」に対し、「そう思う」「どちらかというとそう思う」と回答した人の割合は、男性で51.2%、女性で49.3%と、約半数である。
・女性について、コース別に見ると、総合職の女性で54.9%と高くなっている。
6 柔軟な働き方がしやすい職場のほうが育児にかかわる時間が確保できる
6-1.柔軟な働き方がしやすいとの回答は1万人以上企業でも4割未満
・「あなたは柔軟な働き方(テレワークやフレックスタイム等)がしやすいですか。」に対して、「そう思う」「どちらかというとそう思う」と回答した人の割合は、1万人以上企業でも、男性で38.7%、女性で39.3%と4割未満である。
・企業規模が小さくなるほど、柔軟な働き方がしやすいと回答した人の割合は低くなる傾向である。
6-2.柔軟な働き方がしやすいと回答した人のほうが、育児に関わる時間を確保できている人の割合が高い
・男性について、「あなたはもっと育児に関わる時間を増やしたいと思いますか。」に対して、「すでに十分な時間を確保できている」「どちらかと言えば時間を確保できている」と回答した人の割合を柔軟な働き方のしやすさ別に見ると、柔軟な働き方が「しやすい」人では53.6%、「どちらかというとしやすい」人では40.9%、「どちらかというとしづらい」人では37.1%、「しづらい」人では26.7%と、柔軟な働き方がしやすいと回答した人のほうが高くなっている。女性も同様である。
7 キャリア自律支援が十分でない
7-1.キャリア面談・キャリア研修などキャリアを考える機会をつくるための企業の取組みは不十分
・キャリアを考える機会として「上司とのキャリア面談もしくはその準備の時」と回答した人の割合は、男性で32.1%、女性で41.2%と半数に満たない。また、「キャリア研修」と回答した人の割合は、男性で18.0%、女性で21.2%と低い。
7-2.キャリアを考える機会があると、キャリアの目標を持ち、そのために行動している
・男女別キャリアを考える機会の有無別に、将来の仕事やキャリアの目標を持ち、そのために行動「している」「どちらかと言えばしている」人の割合を見ると、男性では、キャリアを考える機会がある人で50.0%と高く、キャリアを考える機会がない人では13.3%と低い。女性でも、キャリアを考える機会がある人で46.3%と高く、キャリアを考える機会がない人では11.0%と低いい。
7-3.上司によるキャリアアドバイスを「してくれない」「してくれるが十分でない」と回答した人が1万人以上企業でも約6割もいる
・「あなたの上司(管理職)は面談等で今後のキャリアについてアドバイスしてくれますか」に対し、「してくれない」「してくれるが十分でない」と回答した割合を企業規模別に見ると、1万人以上企業でも、男性で64.0%、女性で57.9%もいる。
8 ハラスメントのある職場、思ったことが自由に言えない職場が多い
8-1.ハラスメントを受けた・見聞きした人が多い
・ハラスメントを受けた人と見聞きしたことがある人を合わせると、男性ではほとんどの業種で5割を超え、女性ではすべての業種で6割を超えている。
・業種別のハラスメントを受けた人の割合は、男性では、金融業・保険業が最も高く31.4%、次いで製造業で30.1%と3割以上である。女性では、建設業で最も高く27.7%、次いで製造業で27.0%である。
8-2.受けた・見聞きしたハラスメントは、男女ともパワーハラスメントが多い
8-3.「思ったことが自由に言える」という職場だと認識している人が3、4割しかいない
・「自分の職場は、思ったことが自由に言える職場風土である」に対し、「非常に当てはまる」「まあ当てはまる」と回答した人の割合は、男性で32.2%、女性で40.7%しかいない。
・100~299人企業でも、300人以上企業でも、女性より男性のほうが「思ったことが自由に言える」という職場だと認識している割合は低い。
8-4.「思ったことが自由に言える」という職場でないとハラスメントが起きやすい
・男性について、「職場で思ったことが自由に言える職場風土である」かどうかの回答別にハラスメントを受けた経験の割合を見ると、職場で自由に言える職場風土である(「非常に当てはまる」)場合にはハラスメントを受けた割合は22.1%であるが、職場で自由に言える職場風土でない(「まったく当てはまらない」)場合にはハラスメントを受けた割合は43.8%と高い。
・女性についても、「職場で思ったことが自由に言える職場風土である」かどうかの回答別ににハラスメントを受けた経験の割合を見ると、職場で自由に言える職場風土である(「非常に当てはまる」)場合にはハラスメントを受けた割合は20.0%であるが、職場で自由に言える職場風土でない(「まったく当てはまらない」)場合にはハラスメントを受けた割合は48.3%と高い。
アンケート調査質問項目
Q1-1 あなたの会社でダイバーシティ推進活動をしていることを知っていますか。
Q1-2 ダイバーシティ推進によってあなたの職場の風土が良くなりましたか。
Q2 あなたは将来の仕事やキャリアの目標を持ち、そのために行動していますか。
Q3 あなたの会社では、キャリアを考えるどのような機会がありますか。
Q4 あなたは、管理職になれる可能性があると思いますか。
Q5 あなたは、管理職になれるとしたらどう思いますか。
Q6-1 これまで、異動や担当替えになる時に、キャリア形成の視点から異動や担当替え後の役割の説明を受けたことはありますか。
Q6-2 これまでの異動経験や担当替えの経験はあなたのキャリアにプラスに働いていますか。
Q7 あなたは、今の仕事にやりがいを感じていますか。
Q8 あなたは、仕事に対してどのように取り組んでいますか。
Q9 あなたは上司(管理職)に活躍を期待されていますか。
Q10 あなたの上司(管理職)は、女性部下を男性同様に戦力として育成していますか。
Q11 あなたの上司(管理職)は面談等で今後のキャリアについてアドバイスしてくれますか。
Q12 あなたの職場では、昇格・昇進において性別による差があると思いますか。
Q13 あなたの職場では、重要な仕事は男性と女性どちらが担当することが多いと思いますか。
Q14 あなたの職場では、丁寧な対応が求められる仕事や、サポート的な仕事、細かい事務処理は男性と女性どちらに任せられることが多いと思いますか。
Q15 あなたの職場では、女性は出産しても働き続けるのが当然という雰囲気がありますか。
Q16 あなたの職場では、短時間勤務者は難易度を下げた仕事が与えられていると思いますか。(または与えられていますか。)
Q17-1 あなたは残業や休日勤務など長時間働くことが多いですか。
Q17-2 あなたは有給休暇を取得しやすいですか。
Q17-3 あなたは柔軟な働き方(テレワークやフレックスタイム等)がしやすいですか。
Q18 あなたはもっと育児に関わる時間を増やしたいと思いますか。
Q19 あなたの会社の女性活躍推進の行動計画(目標・取組み)についておたずねします。
Q20 以下のそれぞれの項目はあなたの職場にどの程度当てはまりますか。
Q20-1 悩み、不満、問題と感じたことを会社に伝えやすい。
Q20-2 悩み、不満、問題と感じたことを上司に伝えやすい。
Q20-3 同僚間同士のコミュニケーションが円滑である。
Q20-4 仕事以外のことを相談できる上司・先輩・同僚がいる。
Q20-5 自分の職場は、思ったことが自由に言える職場風土である。
Q21-1 あなたは、あなたが勤務している企業において過去1年間にハラスメントを受けていやな経験をしたことがありますか。もしくは、職場内でその事実を見聞きしたことがありますか。
Q21-2 あなたが受けた行為は下記(セクシュアルハラスメント(ジェンダーハラスメントを含む)、パワーハラスメント、妊娠・出産、育児休業・介護休業等に関するハラスメント、その他のハラスメント)のうちのどれに当てはまるものでしたか。
Q21-3 あなたが見聞きした行為は(セクシュアルハラスメント(ジェンダーハラスメントを含む)、パワーハラスメント、妊娠・出産、育児休業・介護休業等に関するハラスメント、その他のハラスメント)下記のうちのどれに当てはまるものでしたか。