~企業のハラスメント相談窓口体制と適切な対応のために~
【企業事例】太平洋セメント株式会社

ハラスメント相談で重要な初動対応への 
実践力が身に付くセミナーを活用しています

 セメント事業、資源事業、環境事業、建材・建築土木事業を中核に、国内および海外において事業を展開する太平洋セメント株式会社。国内8支店と6工場、研究所等の各拠点に加え、本社16事業部にそれぞれ人事的業務を束ねる役割として32名のリーダー職が在籍し、人権啓発推進委員と社内のハラスメント相談窓口員を兼務している。「人事異動で、初めて相談窓口員の役割を担う人には、まず担当者としての役割について1時間程度のレクチャーを受けていただき、当社の相談窓口の仕組みや相談窓口の利用方法などについての知識を習得してもらいます」と人事部人権啓発推進室室長の柴崎英夫氏。柴崎氏は人権啓発推進室室長としての相談対応のみならず、相談員へのレクチャーも自らが対面で行っている。

 「一通りのレクチャーを行いますが、実際の対応を説明することはできません。実際の相談にあたる際には初動対応がとても重要です。初動を間違えることのないよう基本的な対応の感覚を身につけてもらうため、相談対応の基礎をロールプレイで疑似体験しながら学ぶことができる21世紀職業財団のハラスメント相談担当者セミナー〈ベーシック編〉を受講してもらっています」。そう話す柴崎氏自身も着任後、人権啓発全般について学ぶ中で21世紀職業財団のセミナー受講の経験を持つ。「私自身もこれまで様々な相談を受けてきましたが、同じ相談はひとつもありません。教科書通りにはいかないので、21世紀職業財団のセミナーで教わったように、相談に訪れる従業員の心情や健康状態などに配慮しつつ、まずは相談相手として話を聴くという姿勢を相手に示すことが大事だと考えています」(柴崎氏)。必要に応じて、より実践的な相談対応スキルを磨くための〈アドバンス編〉の受講を勧める等、相談窓口員の研鑽の場を提供している。

 

◎過去3年のハラスメント相談担当者セミナー
 〈ベーシック編〉 受講者数

年度 受講者数
2022年度 12名
2023年度 12名
2024年度
※2024年6月21日時点
5名

 同社では、潜在的な課題も含めた実態把握を目的として、2018年から2年毎に全従業員対象のハラスメントに関するアンケート調査※1を実施している。「アンケートでは、『ハラスメントを受けたことがある』という回答もみられるので、まだまだ潜在的にハラスメントがあり、相談できない職場環境があると認識しています」と話す柴崎氏。

 社内だけでなく、社外相談窓口※2の利用や、コンプライアンスホットラインをはじめ、相談先の選択肢を複数用意し、通報があれば関係部署と連携して対応する仕組みも整備。2022年には柴崎氏が全国の事業所を回り、半年かけて全従業員に対面で説明会を実施し、相談体制の周知徹底を図った。「工場は3交替勤務のため3~4回に分けて説明会を実施しました。全従業員に知ってもらうために時間はかかりましたが、説明会終了後には従業員から問い合わせを受けるなど多くの反響があり、しっかりと話を聞いてくれたことを実感しました。時間はかかっても、一人ひとりに当社の考え方を理解してもらえたら、いずれ彼らが会社の中核になったときにハラスメントの根をなくしていくための土壌が着実に形成されていくことになるだろう、と信じてこの活動を続けています」(柴崎氏)。

 今年度からは初めての試みとして、同社だけでなくグループ企業80社も含めた大規模アンケートも実施。今後はグループ会社にも相談窓口体制の整備を展開していく予定だという。

 

<企業データ>
設   立:1881年5月
資  本  金:862億円
本社所在地:東京都文京区小石川1-1-1 文京ガーデン ゲートタワー
事業概要:セメント事業、資源事業、環境事業、建材・建築土木事業、その他
従業員数:1,841名(男性1,631名、女性210名)
平均年齢:40.1歳
平均勤続年数:17.8年(男性18.4年、女性13.3年)
※2023年3月31日現在

※1 21世紀職業財団にてハラスメント防止対策支援のためのアンケート調査を実施。結果を分析し、職場の実態把握と改善提案を行います。

※2 21世紀職業財団の「ハラスメント社外相談窓口サービス」。高い専門性と豊富な経験を持つプロの相談員が、契約企業の従業員からの相談をお受けしています。

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