【随想】

災害とジェンダー


 今年は、新年の能登半島地震、4月の台湾の地震、豊後水道の地震など大きな地震が発生しています。地震で被災されたすべての方々にお見舞いを申し上げるとともに早期の復興を願っています。

 地震などの大災害の度に、避難所や復旧・復興の取組みに、ジェンダーの視点が欠けている、女性のニーズや課題が反映されていないという批判が起こります。
 避難所においては、女性や乳幼児、妊婦への配慮や必要な物資の準備がない、生理用品やおむつが足りない、生理用品を男性の避難所リーダーから受け取りにくいというケースをよく聞きます。今回の地震でも、残念ながら同様の例があり、現在内閣府で行われている検証においても取り上げられています。また、女性が人目にさらされずに着替える場所がない、下着を干す場所がないといった課題もあります。

 こうした避難所の運営上の課題には、避難所のリーダーが男性だけで仕切られているからだという意見も多く聞かれます。東日本大震災の時には、男性リーダーに女性が悩みを訴えたら一喝された、という声もありました。避難所のリーダーは大変な仕事でストレスも大きいと思いますが、ジェンダーや少数者の視点にも配慮していただければと願います。避難所のリーダーに女性を加えることも大切です。
 また、過去には、避難所での性暴力があったという声もあります。大災害の後には女性へのハラスメント、暴力やDVが増加するというレポートがあります。これは、災害時には男女ともにストレスがかかり、以前からあった男女の社会構造的格差が増強することなどに起因するとされています。平時から性暴力やハラスメント、DVを許さないという意識の普及が大切だということです。

 これらの取組みについては、内閣府男女共同参画局が令和2年にまとめた「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」に示されています。しかし、どれだけ周知されているかが課題です。被災地の皆様にも、また、平時から全国の多くの方々に知っていただきたいと思います。

 企業のBCP(Business Continuity Plan=事業継続計画)においてもジェンダーの視点は必要です。備蓄品は女性の視点から見て必要十分か、子どもを持つ親(父親、母親)は災害後はしばらく出勤できない可能性があることなどを前提にBCPが組まれているかなどです。こうした視点を踏まえていなかった場合は、女性担当者の目を入れて見直ししてはいかがでしょうか。

 と、ここまで書いてみて、我が家の防災用品準備は大丈夫かな、と気になってきました。私が勝手に詰め込んでいる防災用品リュック。夫の目から見たら足りないものがあるかもしれません。今度一緒に見直してみたいと思います。

(21世紀職業財団会長 定塚由美子、機関誌「ダイバーシティ21」2024年夏号より)

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