ハラスメント防止コンサルタント養成講座・認定試験
講師陣が語る講座の魅力と学習方法
厳選された労働法を学び、
コンサルタントとしての総合力を身に付けて
原 昌登 氏
成蹊大学法学部 教授

―先生がハラスメント問題に関心をお持ちになったきっかけを教えてください。
「2017年から2018年にかけて国の『職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会』に参加したことがひとつです。“パワハラ対策は必須”という認識は共有されていたのですが、具体的にどうするかについては公労使のメンバーで多様な考え方があり、その背景にはいろんな紛争があるということに気づき、関心を持ちました。
もう一つ、私たちの子どもが大きくなったときに、今よりもハラスメントが減っている社会を目指すことが自分たちの責務だと思い、やりがいを感じています。例えばセクハラも、30年前には今では考えられないような言動なども日常的にありました。しかし、今はかつてに比べれば状況は改善しつつあります。ハラスメントを少しでも減らして次の世代の人たちにバトンタッチするというのが、今の社会に生きる私たちの責務じゃないかな、と思い、さまざまな場でお話をさせていただいています。」
―先生のご担当される「ハラスメントに関する労働法」の魅力と学習のポイントを教えてください。
「ハラスメントにはたくさんの労働関係の法律が関わっていますので、対策を進めていく上では労働法の知識が不可欠です。多岐にわたる労働法の中でも、養成講座では特にハラスメントとの関わりが深い部分を厳選したかたちで効率よく学べるのが大きなポイントです。ハラスメントに関するルールを表面的に知っているということにとどまらない、まさにコンサルタントとしての総合力を身に付けていただくための科目だと思います。
法律では難しい表現が多く出てきます。基本的な用語はもちろん講義の中でしっかりお伝えしますが、用語の意味をきちんと理解していただくこと、そして自身の言葉に置き換えてみること、この2つを意識することで身に付きやすくなると思います。
このカリキュラムでは、紛争解決の仕組みなどもご紹介します。会社の中で解決できれば一番だと思いますが、場合によっては外部の紛争解決機関の力を借りることもあるかもしれません。身近で起こりうる問題だからこそ、養成講座で学ぶ知識は業種や分野を問わずプラスになります。」
―「ハラスメント防止コンサルタント養成講座・認定試験」の受講・受験をすることはどのような意義がありますか。
「最近は、厚生労働省の『あかるい職場応援団』をはじめ様々なサイトや書籍が出ていますし、ハラスメントに関する情報は世の中にあふれていますので、個人でも知識を一定程度身につけることは不可能ではありません。ですが、この養成講座ではハラスメントに関する重要な知識を短期間で効率的に学ぶことができ、認定試験を通じて習得度を確認できます。つまり、コンサルタントとして認定を受けることは、基本的な知識をしっかり理解できているという証になります。職場内にハラスメント防止コンサルタントが在籍していれば、この会社はハラスメント問題に意欲を持って取り組んでいるという認識につながります。職場内でハラスメント防止への意識がさらに高まるなど、従業員へのプラスの影響や好循環が期待できるのではないでしょうか。」
―ハラスメント防止コンサルタントにどのような役割を期待しますか。
「これだけ社会問題化しているにもかかわらず、ハラスメントに関して正確な知識を持つ人はまだそこまで多くないという印象があります。正確な知識を持つ人が増えれば、ハラスメントの防止・抑止につながることが期待できます。
企業においてもハラスメント防止コンサルタントが得た知見を人事労務の分野での制度設計や運用に活かしていただけたら、なお素晴らしいと考えます。ハラスメント防止措置義務には相談体制の整備も掲げられていますが、専門的な知識を幅広く持つことで、相談相手にしっかりと向き合うことができます。また、相談に至らなくても、日常的な勤務の中でハラスメントにつながるような言動があったときに、そのことを明確に伝えることができるのも、知識があればこそだと思います。」