【3回目 状況調査】男女正社員対象 ダイバーシティ&インクルージョン推進状況調査(2022)
問題意識と調査の目的
2016年に女性活躍推進法が施行され、301人以上の企業は、女性活躍推進のための事業主行動計画を策定・公表することが義務となった。 そこで、当財団では、2018年より2年に1回、 ダイバーシティ推進・女性活躍推進の実態を把握し、課題の抽出を行っている。
2018年3月実施のWEBアンケート調査は女性だけを対象に実施した。2020年1月実施の調査より対象者に男性を追加した。理由は、出産後の就業継続のしやすさ等について、女性は出産後働き続けるのが難しいと退職することが多いため、現状をより正確に確認するためである。
前回までの調査においても、インクルージョン(一人ひとりの多様な特性を受容・尊重して活かすこと)の推進状況を把握する質問を入れており、ダイバーシティ&インクルージョンの推進状況を把握してきた。今回は、一人ひとりが活かされているか、キャリア支援を受けているか、をより詳細に把握するため、設問を追加し、調査タイトルを「ダイバーシティ&インクルージョン推進状況調査」とした。
今回の調査では、これまでの調査の目的に追加して、以下のことを明らかにすることを目的としている。
- 2022年4月から101人~300人企業が女性活躍推進のための事業計画を策定・公表することが義務となった効果
(そのため、調査の実施時期を6月にした。) - インクルージョンの推進状況を捉える要素として、キャリア支援、マミートラックの状況の把握
- 2022年4月から順次施行されている育児・介護法関連の男性の育児休業取得や働き方の実態
調査概要
実施日時:2022年6月17日~7月5日
調査方法:WEBアンケート調査
調査対象: 11業種、従業員101人以上企業に勤務している20~59歳の男女正社員(管理職以外の一般社員)
有効回答数:男性2,250名 女性2,250名 計4,500名
規模割付:企業規模100~300人 男性 750名、女性 750名
企業規模301人~ 男性1,500名、女性1,500名
年齢層割付:
*本調査(2022年)の企業規模区切りは、女性活躍推進法の区切りに従い、101~300人、301人以上としている。
*2022年調査と2020年調査の企業規模別比較について
2020年の調査では、 100~299人、300人~499人、500人~999人、1,000人~2,999人、3,000人~4,999人、5,000人~9,999人、10,000人以上という区切りにしていた。そのため、2020年と2022年の比較の際には、2020年の100~299人と2022年の101~300人を比較し、表記を101~300人としている。その他の規模でも同様である。
回答者属性
<男女別 企業規模別 業種比率>就業構造基本調査との比較
*業種では割付けず、101~300人企業、301人以上企業で、男女それぞれ、100名以上確保 するようにした。
しかし、サンプル数が確保できなかった業種については、以下のようにまとめた形で分析した。
101~300人以下企業では、 「電気・ガス・熱供給・水道業」 、「運輸業、郵便業」、「金融業、保険業」、「不動産業、物品賃貸業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「生活関連サービス業、娯楽業」をまとめた。
301人以上企業では、単年の分析ではまとめていないが、2020年との比較を行う際に、「不動産業、物品賃貸業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「生活関連サービス業、 娯楽業」をまとめた。
2022年調査では、「電気・ガス・熱供給・水道業」を対象として追加した。
<男女別 企業規模別 同居している子どもの有無・年齢>
<男女別 企業規模別 同居している子どもの有無・年齢>
ダイバーシティ&インクルージョン推進状況調査の枠組み
調査結果からわかった主なポイント
(※)今回調査(2022)より新たに追加した設問によって判明したポイントとなります。 | |
---|---|
女性活躍推進行動計画の推進状況 女性活躍推進の取組み状況 | 1.女性活躍推進の行動計画の認知度は向上したが、まだ低いレベルにある 2.企業規模が小さいほど女性活躍推進の取組みが行われていない(※) 3.女性活躍推進の行動計画を知っている場合や女性活躍推進の取組みが積極的に行われている場合は女性の昇進意欲が高い |
ダイバーシティの推進状況 | 4.出産後の就業継続環境は改善した |
インクルージョンの推進状況 | 5.重要な仕事は男性が担当することが多いと思う割合が少し増えた 6.女性の6割が男性のほうが昇格・昇進しやすいと思っている状況に変化はない 7.管理職になる可能性があると認識している割合は男性より女性のほうが低いが、管理職になる可能性があると認識している女性の約半数は昇進意欲がある 8.女性は男性に比べ仕事で一皮むける経験をしたり、上司からの今後のキャリアについてのアドバイスを受ける割合が少ない(※) 9.企業規模が小さいほどキャリア支援施策の実施率が低い(※) 10.出産前よりも難易度や責任の度合いが低くなる、子供を持つとキャリアアップしにくいなどのマミートラックの課題がある |
男性の働き方の状況 | 11.長時間労働、有給休暇の取得しづらさ、柔軟な働き方のしにくさの課題が残っている 12.家事・育児時間に大きい男女差がある中、男性が育児のための休暇・休業を取得すること等で職場にもよい影響がある(※) |
インクルージョンに向けた職場風土 | 13.ダイバーシティ&インクルージョンの前提となる職場風土の醸成ができていない企業が多い(※) |
1.女性活躍推進の行動計画の認知度は向上したが、まだ低いレベルにある
2年前よりも行動計画の認知度は高まったが、まだ低い
・男性においても、女性においても、女性活躍推進の行動計画の「内容を知っている」「おおよその内容を知っている」人の割合は、前回調査の2020年より7ポイント程度高くなっている。
・しかし、 「内容を知っている」「おおよその内容を知っている」人の割合は、男性で27.2%、女性33.0%と低い。
新たに行動計画策定・公表が義務化された101人~300人規模も、それ以上の規模の企業も認知度が低い
・2022年4月から101人~300人規模の企業も女性活躍推進の行動計画策定・公表が義務化されたが、行動計画の認知度を男女別企業規模別に見ると、「内容を知っている」「おおよその内容を知っている」と回答した人の割合は、男性で20.8%、女性で22.9%と低い。
・2016年4月より行動計画策定・公表が義務化された301人以上のどの企業規模グループでも認知度は不十分な状態である。認知度が一番高い10,001人以上企業でも、女性で「内容を知っている」「おおよその内容を知っている」と回答した人の割合は48.2%と半数を超えていない。男性では女性よりさらに低く35.0%である。
2.企業規模が小さいほど女性活躍推進の取組みが行われていない
企業規模が小さくなるほど、女性活躍推進の取組みが行われている割合が低い
・女性活躍推進の取組み状況について、男女別企業規模別に見ると、「積極的に行われている」「行われている」と回答した人の割合は、10,001人企業で最も高く、男性で74.4%、女性で76.3%である。
・しかし、企業規模が小さくなるにつれ、 「積極的に行われている」「行われている」と回答した人の割合は低くなり、101~300人企業では、男性で36.5%、女性で34.3%と低い。
3.女性活躍推進の行動計画を知っている場合や女性活躍推進の取組みが積極的に行われている場合は女性の昇進意欲が高い
女性活躍推進の行動計画を知っている場合、女性の昇進意欲が高い
・女性について、女性活躍推進の行動計画の認知状況別に昇進意欲を見たところ、企業規模に関係なく行動計画の「内容を知っている」場合は、「内容を知らない」場合に比べて、「管理職になりたい」「管理職に推薦されればなりたい」の割合が高い。301人以上企業の総合職も同様。
女性活躍推進の取組みが積極的に行われている場合、女性の昇進意欲が高い
・女性について、女性活躍推進の取組み状況別に昇進意欲を見たところ、企業規模に関係なく「積極的に行われている」場合は、「行われていない」場合に比べて、「管理職になりたい」「管理職に推薦されればなりたい」の割合が高い。301人以上企業の総合職も同様。
女性活躍推進の取組みが積極的に行われている場合、働きがいがある職場と認識している人が多い
・男女毎に女性活躍推進の取組み状況別に働きがいを見たところ、「積極的に行われている」場合は、「行われていない」場合に比べて、7~10点の割合が高い。
<全体版(PDF)>3.女性活躍推進の行動計画を知っている場合や女性活躍推進の取組みが積極的に行われている場合は女性の昇進意欲が高い
4.出産後の就業継続環境は改善した
2年前よりも「出産しても働き続けるのが当然という雰囲気」が高まった
・2年前と比較すると、女性は出産しても働き続けるのが当然という雰囲気が「ある」「どちらかと言えばある」と回答した人の割合は、男性においても、女性においても高まっており、2022年では、それぞれ67.7%、77.2%である。
・多様な人が働くことができているという意味において、ダイバーシティは進んでいると言える。
5.重要な仕事は男性が担当することが多いと思う割合が少し増えた
301人以上規模の企業の女性において、重要な仕事は「男性が担当することが多い」と思う割合が高くなった
・301人以上の企業規模の女性について、2018年、2020年と比較すると、重要な仕事は「男性が担当することが多い」と思う割合が高くなっている。総合職・エリア総合職女性についても、同様である。
301人以上規模の企業の男性において、重要な仕事は「男性が担当することが多い」と思う割合が高くなった
・301人以上の企業規模の男性について、2020年と比較すると、重要な仕事は「男性が担当することが多い」と思う割合が高くなっている。総合職・エリア総合職男性についても、同様である。
女性活躍推進の取組みが積極的に行われている場合、重要な仕事を「男女関係なく」担当することが多いと思う割合が高い
・301人以上企業の総合職・エリア総合職女性において、女性活躍推進の取組みが「積極的に行われている」場合、重要な仕事を「男女関係なく」担当することが多いと思う割合が高く、48.9%である。
・一方、女性活躍推進の取組みが「行われていない」「あまり行われていない」と、「男性が担当することが多い」という回答割合が76.6%と高い。
・しかし、女性活躍推進の取組みが「積極的に行われている」場合であっても、 「男女関係ない」という回答割合が48.9%と半数に満たないため、女性活躍推進の取組み内容の見直しが必要な企業も多いと言える。
6.女性の6割が男性のほうが昇格・昇進しやすいと思っている状況に変化はない
女性のうち「男性のほうが昇格・昇進しやすい」と思う人の割合は約6割で、ほぼ変化なし
・2018年、2020年と比較をすると、「男性のほうが昇格・昇進しやすいと思う」と回答した人の割合は、301人以上企業の女性でわずかに減少したがあまり変わらない。
・総合職女性においても減少傾向にあるが、ほとんど変化はなく 「男性のほうが昇格・昇進しやすいと思う」 の割合は58.6%である。
7.管理職になる可能性があると認識している割合は男性より女性のほうが低いが、管理職になる可能性があると認識している女性の約半数は昇進意欲がある
女性は若い年代でも、「管理職になる可能性があると思う」人は半数に満たない
・管理職になる可能性があると思う人の割合は、同じ年代でも男性より女性のほうが低い。
・20代~40代の女性では、可能性がない理由として、「自分の職種やコースには前例がないので可能性がないと思う」をあげている人の割合が最も高い。
・「育児や介護などをしている場合前例がない」と回答している人も一定数いる。
管理職になる可能性があると認識している女性の約半数は昇進意欲がある
・女性について、管理職になる可能性の認識別に見ると、管理職になる可能性があると思う人では、47.7%が「管理職になりたい」「管理職に推薦されればなりたい」と回答している。
・年代別に見ると、管理職になる可能性があると思う人では、どの年代においても、「管理職になりたい」「管理職に推薦されればなりたい」人の割合は、管理職になりたくない人の割合よりも高く、割合の高い年代順で40代:50.0%、20代:49.6%、50代:48.5%、30代:44.2%となっている。
総合職女性の45.2%は昇進意欲がある
・昇進意欲を総合職男性と総合職女性で比較すると、「管理職になりたい」割合は、総合職男性24.8%、総合職女性12.0%と、男性のほうが高い割合であるが、「管理職に推薦されればなりたい」の割合は、総合職女性のほうがやや高い。
一般職も、管理職になれる可能性があると認識している女性の約半数は昇進意欲がある
・女性の昇進意欲について、コース別、管理職になる可能性の認識別に見ると、管理職になる可能性があると思っている人では、「管理職になりたい」「管理職に推薦されればなりたい」人の割合は、総合職で53.8%、エリア総合職で53.7%、一般職で50.0%と、いずれも5割以上である。
管理職になりたくない理由(総合職)で男女差が大きいのは「長時間労働」、「自信のなさ」、「能力、スキル、経験不足」
・管理職になりたくない理由の1位は、総合職女性で「長時間労働になるから/家庭・プライベートと両立が難しくなるから」、総合職男性で「責任が重くなるから」。
・管理職になりたくない理由の男女比較で総合職女性が総合職男性より10ポイント以上高い項目は、「長時間労働になるから/家庭・プライベートとの両立が難しくなるから」(15.4ポイント)、「漠然として不安があり、自信がないから」(11.7ポイント)、「管理職になるための能力、スキル、経験が不足しているから」(10ポイント)。
<全体版(PDF)>7.管理職になる可能性があると認識している割合は男性より女性のほうが低いが、管理職になる可能性があると認識している女性の約半数は昇進意欲がある
8.女性は男性に比べ仕事で一皮むける経験をしたり、上司からの今後のキャリアについてのアドバイスを受ける割合が少ない
女性は「一皮むける経験をしたことがない」人の割合が男性より高い
・企業規模別に「一皮むける経験(*)をしたことがない」人の割合を見ると、どの企業規模においても、女性は男性よりも「一皮むける経験をしたことがない」人の割合が高い。
*「一皮むける経験」とは、次のような、仕事上の能力が大きく伸びるような経験。「入社3~5年目の異動」、「部門を横断するような大きな異動」、「プロジェクトチームへの参画」、「問題のある部門での大きな業務の改善や再構築」、「昇進・ 昇格による権限の拡大」、「新規事業・新市場・新分野のゼロからの立ち上げ」、「海外勤務」等。
「一皮むける経験」をしたことがある場合、昇進意欲が高い
・女性と総合職女性について、「一皮むける経験」の有無別に昇進意欲を見ると、「一皮むける経験」をしたことがある場合、 「管理職になりたい」「管理職に推薦されればなりたい」と回答した人の割合がそれぞれ40.2%、52.2%であるが、「一皮むける経験」をしたことがない場合、21.0%、30.2%と低い。
「上司からチャレンジングな仕事を任されている」と思う割合が女性は男性より低い
・年代別男女別に「あなたの上司は日々の業務の中であなたに少し高い目標や経験値より少し困難な仕事を任せてチャレンジさせていますか」に対する回答を見ると、どの年代でも、「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」の割合は男性より女性のほうが低い。
上司からチャレンジングな仕事を任されていると思う場合、昇進意欲が高い
・女性について、上司の仕事の任せ方への認識別に昇進意欲を見ると、「少し高い目標や経験値より少し困難な仕事を任せてチャレンジさせている」に対し「そう思う」と回答した人は、「管理職になりたい」「管理職に推薦されればなりたい」と回答した人の割合が42.1%であるが、「そう思わない」と回答した人は、22.4%と低い。
女性が上司から今後のキャリアについてのアドバイスを受けている割合は、各年代とも男性より低い
・上司から今後のキャリアについてのアドバイスを受けているかについて年代別男女別に見ると、「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」の割合は、20代ではあまり差がないものの、各年代とも女性のほうが男性よりも低い。
上司から今後のキャリアについてのアドバイスを受けている場合、仕事への意欲が高い
・女性について、上司からの今後のキャリアについてのアドバイスを受けているかについての回答別に仕事への意欲を見ると、「そう思う」(アドバイスを受けている)場合、 仕事に意欲的に 「取組めている」「どちらかと言えば取組めている」と回答した人の割合が79.7%であるが、「そう思わない」場合、31.1%と低い。
<全体版(PDF)>8.女性は男性に比べ仕事で一皮むける経験をしたり、上司からの今後のキャリアについてのアドバイスを受ける割合が少ない
9.企業規模が小さいほどキャリア支援施策の実施率が低い
企業規模が小さくなるほど、キャリアデザイン研修の実施割合が低い
・キャリアデザイン研修の実施状況を企業規模別男女別に見ると、男女とも規模が小さくなるにつれて、施策がある(「施策があり、受けたことがある」「施策はあるが受けたことがない」)割合が低くなる傾向にある。
・101~300人企業では、施策のある割合は男性で32.2%、女性で24.1%と低く、女性で 「施策があり、受けたことがある」人は1割にも満たない。
・「施策があり、受けたことがある」人の割合を男女比較すると、 101~300人、501~1,000人で、男性より女性のほうが低い。
企業規模が小さくなるほど、キャリア面談の実施割合が低い
・上司との定期的なキャリア面談(今後のキャリアについて話し合う面談。業務の相談や考課面談とは異なるもの)は、規模によらず実施可能と思われるが、企業規模が小さいほど、実施割合が低い。
・どの企業規模においても、男性より女性のほうが「施策があり、受けたことがある」人の割合が高い。
キャリアデザイン研修を受けたことがある場合は、「将来の仕事やキャリアの目標を持ち、そのために行動している」割合が高くなる
・キャリアデザイン研修を受けたことがある場合は、「将来の仕事やキャリアの目標を持ち、そのために行動している」人の割合が高く、「施策がない」「わからない」の場合は、低い。
・上位職登用のための選抜研修、資格取得や研修受講の費用援助、上司との定期的なキャリア面談を受けたことがある場合についても、同様にキャリアの自律が実現している割合が高い傾向がみられる。(グラフ省略)
10.出産前よりも難易度や責任の度合いが低くなる、子供を持つとキャリアアップしにくいなどのマミートラックの課題がある
20代・30代の総合職・エリア総合職の女性では、出産前よりも難易度や責任の度合いが低くなった人が4割
・20代・30代で子どものいる人について、男女別コース・仕事別に「難易度や責任の度合いが子どもが生まれる前よりも低い」(いわゆるマミートラック)人の割合を見ると、男性総合職・エリア総合職では14.6%であるが、女性総合職・エリア総合職では、40.0%と高い。
・101~300人企業では、施策のある割合は男性で32.2%、女性で24.1%と低く、女性で 「施策があり、受けたことがある」人は1割にも満たない。
・一般職、基幹的な仕事、基幹的な仕事以外でも、男性より女性のほうが「難易度や責任の度合いが子どもが生まれる前よりも低い」人の割合が高い。
子どものいる人について、キャリアの展望がある人の割合は、どの年代においても女性のほうが少ない
・子どものいる人について、キャリアの展望がある( 「キャリアの展望がある」「どちらかと言えばキャリアの展望がある」)人の割合を年代別に男女比較をすると、どの年代も女性のほうが低い。
・特に30代においては、18.5ポイントの男女差がある。
<全体版(PDF)>10.出産前よりも難易度や責任の度合いが低くなる、子供を持つとキャリアアップしにくいなどのマミートラックの課題がある
11.長時間労働、有給休暇の取得しづらさ、柔軟な働き方のしにくさの課題が残っている
幼い子どもがいる男性の半数以上は、上司が躊躇なく幼い子どもがいる男性に残業を命じていると思っている
・長子の年齢が未就学または小学生である男性のうち5割を超える人が、上司が躊躇なく幼い子どもがいる男性に残業を命じていると思っている 。
・一方、幼い子どものいない男性では、その割合は4割前後と相対的に低い。
幼い子どもがいる男性に躊躇なく残業を命じる上司だと、幼い子どもがいる男性部下の残業時間が長くなる
・未就学児・小学生の長子がいる男性において、上司が幼い子どもがいる男性に躊躇なく残業を命じている場合、長時間働くことが多い(「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」)と回答した人の割合は73.5%と高い。
・一方、上司が幼い子どもがいる男性に躊躇なく残業を命じていない場合、長時間働くことが多い(「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」)と回答した人の割合は27.8%と低い。
長時間仕事をする人が高く評価されると思っている人が4割を超えている
・長時間仕事をする人が高く評価されると思う(「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」)と回答した人が全体で43.3%と4割を超えている。
・男女別に見ると、男性で44.2%、女性で42.5%である。
柔軟な働き方の制度が利用しやすい人は大企業でも約3割
・テレワークやフレックスタイム等柔軟な働き方について尋ねたところ、10,001人以上企業でも、「制度があり利用しやすい」と回答した人の割合は、男性で31.7%、女性で33.3%と高くない。
・どの規模の企業であっても、「制度はあるが利用しにくい」と回答した人が2割以上いる。制度を作るだけでなく、利用しやすくする必要がある。
柔軟な働き方の制度が利用しやすいと、育児をしながらキャリアアップすることが可能だと女性が思う割合が高まる
・女性において、柔軟な働き方(テレワークやフレックスタイム等)の「制度があり、利用しやすい」と回答した人は、育児をしながらキャリアアップすることが可能だと思う(「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」)割合が71.6%と高い。
・「柔軟な働き方ができない職種である」、「柔軟な働き方の制度がない」、「制度はあるが、利用しにくい」場合には、育児をしながらキャリアアップ可能だと思う割合は6割に満たない。
長時間働くことが多い男性の7割近くが、もっと育児に関わる時間を増やしたいと思っている
・子どものいる男性で、長時間働くことが多い場合、「もっと育児に関わる時間を確保したい」人の割合が29.6%、「もう少し時間を確保したいと思う」人の割合が37.8%と、7割近くが現在よりも育児に関わる時間を増やしたいと思っている。
12.家事・育児時間に大きい男女差がある中、男性が育児のための休暇・休業を取得すること等で職場にもよい影響がある
子どもの年代に関わらず、家事・育児時間に男女間で大きな差がある
・長子の年齢別に、仕事がある日の家事・育児時間を男女で比べたところ、未就学の子どものいる女性では、3時間以上の人が65.4%であるが、男性では9.0%しかいない。
・3時間以上の人の割合は、小学生の子どもがいる人では、女性48.6%、男性6.9%、中学生以上の子どもがいる人では、女性24.5%、男性3.0%と長子がどの年代でも、家事・育児時間に男女間で大きな差がある。
子どもの出生や育児のために長期の休暇・休業を取得している男性は少ない
・男性において、子どもの出生や育児のための休暇・休業取得日数を見ると、育児休業取得者でも1か月を超えて取得している人は19.6%しかいない。
・7日以内の人が、育児休業で57.2%、配偶者出産休暇制度/育児目的休暇等で84.5%、年次有給休暇で54.7%と高い割合である。
男性が育児のために休暇・休業を取得することは、職場にもよい影響がある
・休暇・休業を取得したことでの良い影響について、職場への影響として、「職場の人の家庭環境等に配慮するようになった」「効率的に仕事を行うようになった」「仕事に対するモチベーションが向上した」について「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」の割合が6割を超え、 「視野が広がり、これまでと違った発想ができるようになった」58.8%、「チーム内で積極的な情報共有を自ら行うようになった」52.3%である。
・「配偶者のキャリア形成を支援できるようになった」も、53.5%の人が「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」と回答している。
20代では8割以上の男性が、育児休業取得を希望
・年代別に育児休業取得希望の有無を見ると、20代では、育児休業を取得したいと思っている人が子どもを持つ予定がある男性の8割を超えている。30代でも77.4%、40代でも67.8%と高い。
育児休業取得を希望する男性の約半数が1か月超の休業を希望している
・子どもを持つ予定があり、育児休業取得を希望している男性について、年代別に希望の取得期間を見ると、どの年代でも、3か月超が約2割である。
・1か月超が20代で50.0%、30代で53.3%、40代で49.5%である。
・現状(Q24:1か月超えの人は約2割)と比べると希望の取得期間は長くなっている。
大企業でも、男性の長期の育児休業が取得しやすいとの回答は3割に満たない
・男性の育児休業の取得のしやすさを企業規模別に見ると、「短期間でも取得しにくい」と回答した男性の割合は10,001人以上企業で26.2%、301~500人企業では46.5%。
・「短期間でも、長期間でも取得しやすい」と回答した男性の割合は、10,001人以上企業でも27.8%と3割に達していない。
<全体版(PDF)>12.家事・育児時間に大きい男女差がある中、男性が育児のための休暇・休業を取得すること等で職場にもよい影響がある
13.ダイバーシティ&インクルージョンの前提となる職場風土の醸成ができていない企業が多い
思ったことが自由に言える職場風土であると認識している人は5割に満たない
・「思ったことが自由に言える職場風土である」に対して、 「非常にあてはまる」「あてはまる」と回答した人の割合は、男女合わせた全体で47.1%と5割に満たない。
・「思ったことが自由に言える職場風土である」に対し、「非常にあてはまる」と回答した人では、働きがいの点数が7~10点の人の割合が高く、「まったくあてはまらない」場合、 7~10点の人の割合が低い。
職場では社員の個性や多様性を大切にしていると認識している人は42.4%にすぎない
・職場では「社員の個性や多様性を大切にしている」に対して、「非常にあてはまる」「あてはまる」と回答した人の割合は、男女合わせた全体で42.4%である。
・職場では「社員の個性や多様性を大切にしている」に対し、「非常にあてはまる」と回答した人では、働きがいの点数が7~10点の人の割合が高く、「まったくあてはまらない」場合、 7~10点の人の割合が低い。