女性交流会 実施報告

第10回 明日のビジネスを担う女性たちの交流会 in 大阪

<開催日時>2022年9月14日(水)15:00~16:30
<開催形式>Zoomでのオンライン開催(関西事務所主催)

 


 昨年に引き続きオンラインで開催し、約240名の方々にご参加いただきました。女性役員3名のパネリストをお迎えし、コーディネーターの当財団関西事務所長の佐野由美より、参加者からの質問などを投げかけ、三者三様のキャリアを踏まえて、男女の格差や子育てとの両立などの困難を乗り越えるコツや、社内外のネットワーク構築の重要性など、仕事を続けていく上でのモチベーションのヒントをたくさんいただき、最後に自分が面白いと思える仕事を見つけて視野を広げてチャレンジしてほしいとのエールをいただきました。

大阪交流会

当財団 関西事務所長 佐野由美

■パネリストからのメッセージ

木村 ひとみ氏(日本新薬株式会社 取締役 サプライチェーン・信頼性保証担当)
 

 男女雇用機会均等法前の入社でしたので、総合職、一般職の区別というのはなかったけれど、女性だけお茶の出し方を新人研修で習う時代でした。

 薬事部という許認可を担当する部門に異動したとき、社内の様々な部門と連携することが多く、また当時大きな法改正もあったので、関係部門と協働しながら乗り越える仕事は大変でしたが楽しいものでした。工場や取引先など、あらゆる関係部門から得た製造工程や品質にかかわる情報や知識は今も様々な判断を行う上でとても役立っています。このような協働を通して、相手の困っていることやニーズを理解して応えるにはどうすればよいか考える、という自分のスタンスの基礎が作られたと思います。

 また、自身の対応の結果、課題が解決し、役立っていると感じられたことはモチベーションにつながりました。この薬事部で管理職になったのですが、当初は「課長は男性」という雰囲気がまだ残っていたものの、時代の移り変わりとともに課長となり、その後、部長、執行役員を経て取締役になりました。

 働く姿勢において好影響を受けた人は、弊社の元取締役です。「交渉を絶対に諦めない、やると決めたことはやり通す」という信念を持った方でした。会議に同席した際に緊迫感や迫力を身にしみて感じ、自分が取締役となったいま、諦めない姿勢でのぞみたいと思っています。

柿原 アツ子氏(川崎重工業株式会社 執行役員 マーケティング本部長)

 

 入社3年目の、業界全体が不況で苦しい時期に上司が総合職への転換を勧めてくれて引っ張り上げてくれました。

 その後、約20年中国担当として働き、駐在も経験したのですが、社外の異業種勉強会のメンバーとの出会いによって、自分の知らないことがまだこんなにもたくさんあるということを痛感し、外の世界で学びなおそうと、2年間休職してビジネススクールに通いました。そこで会計やマーケティングなどの個別のスキル以外にも経営視点というものを学ぶことできたのが良かったと思います。

 修了後、新設されたCSR企画部門に復職することになり、それまでの中国一辺倒から全く新しい分野の仕事にチャレンジできたことは、自分にとって大きな意味がありました。

 2020年に執行役員に就任し危機管理も担当することになったのですが、ちょうど新型コロナウィルスが広がり始めた時期で、何をどう判断してどう対応するのが正しいのか悩み、それでも状況は悪くなるばかりで無力感を味わう日々を送りました。

 非常に厳しい経験でしたけれども、もちろん30年以上の会社生活では、他にも批判される、失敗するといったネガティブな経験は山ほどあります。でも、今になって考えると、実はそのたびに精神に新しい筋肉がついていったのではないかと思います。

國井 美和氏(住友電気工業株式会社 執行役員 人材開発部長)
 

 今は人材開発部長をしていますが、もともとはエンジニアで、最初はシステム事業や自動車関連の開発を担当していました。技術者としての将来が見えなくなったときに、人事の採用担当に技術系の女性で子育て経験のある人を探しているという情報を耳にしたので、手を挙げて異動しました。採用担当は会社全体を見る必要があるので、会社の他の事業内容まで知ることができ、視野が広がりました。

 その後は広報などコーポレート系の仕事をしていますが、途中で他社勤務の夫が米国勤務になった機会に、自分も米国駐在を経験し、人脈が広がりました。

 帰国したころ、ちょうど女性活躍推進法が施行される時期で、ダイバーシティ推進グループ長も担当しました。採用担当で視野が広がったこと、米国駐在で人脈が広がったことに加え、子育てがひと段落した最近、NPO活動に参加するようになり、自営業など違う世界の人たちと知り合う機会があり、この3つが私の成長につながっていると感じます。

 自分のキャリアに影響を与えてくれた人として思い出すのは、新人時代の女性の先輩です。子どもができたら辞める女性も多い時代に、配偶者と家事や育児を平等に分担し、自分の仕事の量も質も落とさない働き方を間近に見ることができたのは大きかったと思います。


■役員になった経緯となってからの変化■

  • 事前の打診はなく悩む暇もありませんでした。執行役員は社員なのでそれほど権限がないということに、なってから気づきましたが、会社の代表として社外の諸団体に委員として参加できることはとても刺激になり勉強になります。若い人たちからはバリバリ系に見えるかもしれませんが、実際にはそうではないので、私を昔から知っている人は一緒に盛り上げようとしてくれていると思います。【國井氏】
  • 私も、いきなり内示が出て「なぜ私??」と思いましたが、また今までとは違う景色が見えるかなとも思いました。自分はもともと自分で手を動かすソルジャータイプでそれが性に合っていると思っていたのですが、組織の力で物事を進める醍醐味を味わうようになって、コマンダーの面白さに気づきました。【柿原氏】
  • 執行役員のときも、取締役になるときも、内示をもらいました。執行役員のときは、それまで自分がやってきた仕事の延長線上の感じがありましたが、取締役と言われたときは、正直驚きつつも、「自分で役に立つなら」と思って引き受けました。各部門長は目の前の業務に一生懸命取り組んでいるので、私は会社全体の方向性を強く意識して、少し先の未来のビジョンを皆さんと共有できるように心がけています。【木村氏】

■男女の格差について■

  • 仕事のアサインに差がありました。配属面接の面接官などのように、無意識に男性だけで担う業務や役割があったり、残業が多い仕事や厳しい客先の担当などから女性が外されることもありました。これらが経験の差になり最終的に登用の差につながると思いますので、本来これは自分に声がかかるべきなのに、おかしいなと思ったら、自分からこの仕事をやりたいと声に出すことも大事です。【國井氏】
  • 20代の頃の話ですが、私が所属部門でたまたま一人でいるときに他部門の人が立ち寄られ、私に「誰もおらんの?」と聞いてこられたということがありました。女性は仕事をしているメンバーにカウントしないということですよね。でもこの経験から、人から必要と思ってもらえるようになる、信頼関係を得られるように自分でしていかなければいけないなと思いました。【柿原氏】
  • 他部門の部長から「自分の後任として推薦しておいたよ」と言ってもらえたのに、最終的に他の男性がその部門の部長になりました。その際、「女性にはこの部門長の仕事はきつすぎて無理だから」ということを理由として聞き、残念な思いをしました。とはいえ、自分はここで、今の仕事で頑張ればいいと気持ちを切り替え、その頑張りが結果として「木村さんに相談しようか」と他部門から信頼を得ることにもつながったと思います。【木村氏】

■仕事を続けるモチベーション■

  • 「自分が面白いと感じる」ことに出会えたということだと思います。医薬品なので、患者様のため・世の中のため、ということもありますが、身近な社内の関連部門の役に立っている、一緒に取り組んで成果を出せたという連帯感と達成感が大きなモチベーションになりました。【木村氏】
  • 基本的に「楽しい」がモチベーションだと思います。私はチャレンジするのがとても楽しいタイプなので、それが仕事を続けてこられた要因です。【國井氏】
  • 小さいころから働く人、働くことに対する「憧れ」がありました。例えば3.11のときの消防や警察や自衛隊の人には使命を全うする尊さを学びましたし、製造業である自社のエンジニアもすごいと思っています。そういう色々な人たちへの憧れとリスペクトが働き続けるためのモチベーションです。【柿原氏】

■両立するコツ■

  • 課長職のときが一番忙しかったのですが、家事分担では「言わないと、わかってもらえない」ので、自分の感じていることを相手にちゃんと話すようにしています。今は介護で同居している母と口喧嘩もしますが、言いたいことを言って、引きずらないことが大事です。【木村氏】
  • 働いている自分がいるのは家族がいたからこそです。「仕事がやりたいことの70%しかできなくて、家のことも70%しかできなかったとしても、合わせたら140%だからスゴイじゃない?」そんな考え方で乗り切ってきました。 【柿原氏】 
  • 家族をコントロールしようと思わないことが大事。夫も子どもも絶対にコントロールされてくれないので。会社の部下の方がよほど言うことを聞いてくれます。また、できるだけ怒りの気持ちを爆発させない。怒る前にちょっと止まるようにしていました。子どもには、塾のお弁当なんて作ったことはなく、コンビニで何か買ってと言ってました。「こうあるべき」というのは、自分が別にそうじゃなくてもいいと思ったら、こだわらないことです。【國井氏】

■参加者へのメッセージ■

  • ダブルメジャー(double major)をお勧めします。2つ以上の、ある程度専門性というか得意技をもっていると、セルフダイバーシティ状態になって、異なる角度からのものの見方ができるようになりますし、望めるポストも増えるかもしれません。また、昔は「女性だけどやらせてみるか」といった考えがありましたが、今は「女性だからやって」という雰囲気に変わりました。「下駄を履かせてもらっている」と捉える人もいるかもしれませんが、「下駄履き上等!」と受け止めちゃいませんか?【柿原氏】
  • 社外のネットワークを作ることと、社内の信頼関係をしっかり築いてください。女性の先輩でパイオニア的な方がいたので「一番先頭を走って大変ですよね」とお聞きしたら、「むしろ前例がないから楽。自分が言ったことを周囲の人が、そうなんだと聞いてくれるから」と答えが返ってきたのですが、その人が周囲からすごく信頼されているからだと気づきました。自分でこうありたいと思ったら、やはり社外のネットワークなど、相談できる相手が必要ですし、周囲との信頼関係が大事ですね。【國井氏】
  • 地味で小さい部門に異動した際に、周囲の人からは何かあったのかと心配されるほどだったのですが、自分ではそこの仕事を面白いと感じていたので、気になりませんでした。自分で面白いと思えることを見つけて、掘り下げる。そうするとキャリアも積めるし、信頼関係もどんどん築けるようになり、世界が広がります。【木村氏】
参加者の声

 「成長したと思うこと」「マミートラック」「影響を与えた人」など気になっている内容ばかりで、とても為になりました。「自分は兵隊タイプだと思っていたが、リーダーの役割に醍醐味を感じている」「立場・環境により、知らなかった新たな自分を知ることができる」とのコメントが印象的でした。チャレンジしてみることで、見える世界があるのだなと感じました。

 パネリストの方々はいずれも、意義深いことをお話になっていて、興味深く聞かせていただきました。私自身は、自分の組織で何人もの女性に仕事をしてもらっていますが、1人でも多くの人に「キャリアスタート以来、心に残る人・好影響を受けた人」に挙げてもらえるような上司になりたいものだと思いました。


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