【スーパーバイザーコラム】ハラスメント対応A to Z《第15回》

指導の根拠をどう残すか

 情報開示請求が日常生活に近いものになり、記録の改ざんや廃棄の問題が大きく取り上げられるようになって、「記録を残す」ことに慎重にならざるを得ない風潮が高まっています。その一方で、SNSやネットワーク上では、なにげなく「記録」した情報が流出しているのも事実です。

 最近の事件では、組織のトップの「知らなかった」という申し開きが通用する場面が多く見られますが、欧米などではむしろ、知っていようがいまいが、責任は発生するという考え方が一般的です。今後、日本の職場のグローバル化が進むことを考えると、少なくとも知っていることは記録して残しておく方が身のため、ということが浸透していくでしょう。

 「指導のための“かきくけこ”」では、ハラスメントにならない指導のポイントとして、記録を上げています。

 か 「環境」を整える
 き 「記録」に基づく
 く 「具体的」に話す
 け 「傾聴」する
 こ 「これから」を明確にする

き 「記録」に基づく
 的確に指導するには、事実関係の把握が欠かせません。指導される側が何を変えればよいかを理解するためにも、具体的な事実を積み上げて伝えられるよう、準備しましょう。

1.経過を記録する
 問題行動については、正確かつ、具体的に、客観的に、一貫して記録するようにしましょう。記録の目的は、客観的かつ観察できる情報を収集するとともに、部下に事態の深刻さを伝える準備をすることでもあります。場合によっては懲罰等の根拠にもなることを踏まえ、感情的なメモに終わってしまわないよう、事実を記録することが求められます。
 管理者の役割は部下のパフォーマンスの改善で、問題の原因が何かを特定することではありません。憶測ではなく、目の前で起きている事象を記録しましょう。
 記録が必要な事態が発生したら、深刻化する前に部下に注意するとともに、自分自身の上司に報告することも重要です。

2.注目したい変化
 指導が必要と考えられる不調のサインを3K(効率、勤怠、感情)でまとめました。以前と比べてこれらに変化が見られた際は、特に要注意です。

(1)「効率の低下」
 i.パフォーマンスが下がる、ミス
  元々できた業務ができなくなる。前にはなかったミスをする。
 ii.決められなくなる
  何が必要か判断できなくなって、ずるずる残業したり無駄にコピーしたりする。

(2)「勤怠の乱れ」
 i.遅刻、欠勤、早退
  元々は普通に勤務できていたのが、できなくなる。
 ii.体調不良
  突発的に休む。体調不良の理由がはっきりせずあちこちの医療機関を受診する。

(3)「感情の変化」
 i.表情や姿勢が変わる
  感情の起伏が激しくなったり、無感情になったりする。
 ii.人間関係が変化する
  周囲から、「あの人最近様子おかしいよね」と噂される。

3.面談の記録を残す
 これらの記録をもとに部下と面談した場合、その面談自体もしっかりと記録しておきましょう。指導しっぱなしにならないよう、ご自分と部下それぞれのアクションプランを正確に残すことが重要です。

(スーパーバイザー八木亜紀子、2023/8/24掲載)

 

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